IBM、脳型認知を行うニューロン・シナプス型コンピュータ・チップを公開

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

IBMが、ヒトの脳のような認知処理を行うニューロン・シナプス型コンピュータ用チップの試作品を開発したとのこと。この技術により、現在のコンピュータより消費電力を何桁も下げつつ高速化が可能になるとしています。こうしたチップを使った脳型認知コンピュータ・システムは、従来のコンピュータのようにプログラムによって動作するのではなく、脳の構造とシナプスの柔軟性を模倣することによって、経験を通して学習したり、相関性を見つける、仮説を立てる、結果を記憶して学習するといったことができると期待されています。

「ブレイン・ウォール」の前に立つSyNAPSE技術プロジェクト・マネージャのBill Risk氏。黄色の箱一つ一つが256個のニューロンを持つ脳型認知コンピュータ・チップを表している。近づいてみると、これらはニューロンの発火現象にならって瞬いているのが分かる (Credit: IBM)

試作チップの開発は、米国防総省国防高等研究事業局(DARPA)が出資するプロジェクトSyNAPSE(the Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronics)の第2フェーズとして実施されたもの。同プロジェクトの目標は、複数の様式のセンサ類から一度に入ってくる複雑な情報を解析するだけでなく、周囲の環境との相互作用を通して自分自身を動的に再配線するようなシステムを作ることであり、しかも、それをヒトの脳に匹敵する小型サイズと低消費電力で実現するのだといいます。

今回IBMが開発した試作チップは2種類あり、両方とも45nm SOI-CMOSプロセスで作製されたとのこと。一方のコアは26万2144個のプログラム可能なシナプスを持ち、もう一方は6万5536個の学習能力のあるシナプスを持っています。ナビゲーション、機械視覚、パターン認識、連想、分類などのシンプルな応用はすでに実証済みであるといいます。

脳型認知コンピュータの応用例としては、例えば次のようなものが考えられます。

  • 世界規模での水量監視システム: センサとアクチュエータのネットワークを使って、温度・水圧・波高・音・海洋潮汐などのデータ群を常時レポートし、自らの意思決定に基づいて津波警報を出すことが可能
  • 食品陳列棚の鮮度モニタ: 食品の外観、におい、手触り、温度などの計測用グローブを使って、製品の鮮度劣化や汚染を警告することが可能

  • こうした目がくらむようなレートで流れてこんでくるリアルタイム情報の意味を理解することは、現在のコンピュータにとっては非常に難しい作業ですが、脳型システムにとっては自然なものになる、といいます。


    発表資料

    おすすめ記事

    Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...