パナソニックとimec、微量の血液から遺伝子情報を全自動検査できるチップ開発

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パナソニックとベルギーimecが、数マイクロリットルの血液から遺伝子情報検査を全自動で行なえる小型の遺伝子検査チップを開発した。微量の血液からDNAを抽出・増幅し、遺伝病の有無などが分かる一塩基多型(SNP:Single Nucleotide Polymorphism)の判定を行う機能を1チップに一体化した。前処理も含め1時間で遺伝子検査を行うことが可能になるという。

遺伝子検査チップの外観 (出所:パナソニック)

これまで全自動の遺伝子検査装置は大型で高価なため臨床現場への本格普及には至らず、専門検査機関での解析が主流であるため、判定結果のフィードバックに時間がかかるという課題があった。臨床現場では簡単な装置による短時間の検査が望まれていた。

研究チームは今回、(1)導電性ポリマーアクチュエータを用いた低電圧駆動の超小型ポンプ、(2)マイクロPCRによるDNAの高速増幅技術、(3)微量の血液と薬液で短時間に高精度・高感度な検査ができる電気化学式SNPセンサなどの要素技術を開発し、小型・全自動の遺伝子検査チップを実現した。チップ面積は9cm2程度となっている。

開発した遺伝子検査チップの構成図。上段:遺伝子チップを構成するキーコンポーネント。下段:遺伝子チップ構成図および処理フロー (出所:パナソニック)

 

遺伝子検査システム試作機の外観。矢印方向に遺伝子チップを装着する (出所:パナソニック)

 
(1)導電性ポリマーアクチュエータを用いた超小型高圧ポンプ
シリコン基板上にポリマー薄膜を積層し、積層方向に大きく伸縮するポリマーアクチュエータを開発し、ダイヤフラムを移動させて送液を行うダイアフラムポンプを実現した。ポリマーアクチュエータは最大300気圧を超える圧力を発生させることが可能であり、DNAを選別する高精度フィルタへの液注入を含むマイクロ流路中での溶液移動が容易となる。ポンプのサイズは6mm角で、通常駆動圧は30気圧。1.5Vの低電圧で動作し、電池駆動が可能となった。

(2)高速PCR技術
遺伝子診断を行うには、DNA上でSNPを含む領域を切り出し、一定の量まで増やす必要がある。一般的なPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるDNA増幅では、2時間程度の時間がかかる。今回、熱伝導性の良いシリコン基板を用い、周囲からの熱分離を最適化して昇降温の温度追従性を高めつつ、少ない液量でPCR反応が起こる構成とすることで、DNA増幅にかかる時間を約15分以下と大幅に短縮した。

(3)高精度・高感度な電気化学式センサ
従来、電気的にSNPを識別するには、あらかじめ識別用の人工DNAを電極上に固定させた高価で特殊な電極が必要だった。今回は、識別用の人工DNAを電極に固定させることなく、微量(約0.5マイクロリットル)の薬液中に溶解させた状態で、電気的にSNPの識別を可能にした。

今回開発された遺伝子検査チップは、一般病院などの臨床現場で患者個人の体質にあわせた医薬品処方や治療法などを選ぶ「テーラメイド医療」の普及につながるものであるとする。小型の全自動測定システムにより、短時間でSNPを判定できることから、患者への薬の選択や病気の発症リスクを医師が臨床現場で判断できるようになると期待できる。


発表資料

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