立命館大、新原理の深紫外発光デバイスMIPEを開発。大面積・水銀フリーの殺菌用光源

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立命館グローバルイノベーション研究機構(R-GIRO)特別招聘教授 青柳克信氏とPIリサーチ主任研究員 黒瀬範子氏が、新しい原理で深紫外光の発光を行うマイクロプラズマ励起大面積高出力深紫外発光素子(MIPE)を開発した。殺菌用途で従来の水銀ランプを代替する技術として注目される。2013年1月31日付けの Applied Physics Letters に論文が掲載されている。

2インチウェハーを用いたMIPEの発光の様子 (出所:立命館大学)

波長200~350nmの深紫外光は、DNAとの相互作用が強く、ウイルスや細菌類を殺菌・無害化する効果がある。薬物・抗生剤のような遺伝子の耐性化も伴わない。このため、水や動植物の殺菌、病院や家庭での滅菌消毒、難分解性物質の分解、化学物質の合成など、幅広い分野での利用が期待されている。

従来、深紫外光の光源としては水銀ランプが使用されてきたが、国連の水銀条約によって2013年から使用が制限され、2020年には完全使用禁止される方向にある。そこで、水銀ランプの代替光源として、化合物半導体AlGaNを発光層に用いた深紫外LEDが開発されているが、波長が短波長化するほどp型AlGaNの作製が難しくなり、高い発光効率が得にくくなる。また、AlGaNはサファイア基板に結晶成長させるため、大面積の素子を作ろうとする場合、転位欠陥が多く発生することが問題となる。

一方、今回開発されたMIPEは、従来の深紫外LEDとは動作原理が全く異なっており、作製の難しいp型AlGaNを必要とせず、結晶成長時の転位があっても発光可能となっている。pn接合やコンタクト電極の形成も必要なく、プロセスが簡単であるため、実験室レベルでの製造コストは深紫外LEDの1/5~1/10で済むという。

MIPEの発光原理 (Y. Aoyagi and N. Kurose, Applied Physics Letters (2013) doi:10.1063/1.4789977)

 
発光メカニズムは、微小な空間で発生させたマイクロプラズマをダイナミックに動かしてプラズマ中の電子を引き出し、AlGaN多重量子井戸に当てて強く励起させることにより、深紫外光を発生させるというもの。この方法で深紫外光を効率よく発光させることができるという。AlGaN多重量子井戸の厚みを変えることで深紫外光の波長を任意に制御することもできる。

2インチウェハーを用いたMIPEの発光では、波長306nmで出力50mWを得ている。実験室レベルでは229nmの短波長で動作するデバイスも確認しているという。

MIPEはプラズマディスプレイパネル(PDP)と同様フラットパネル型にできるため、大面積化・高出力化が可能。PDPの封止技術を用いてMIPEをパネル状に配列したワイドMIPEを作製すれば、計算上1m×5mで出力100Wを超え、水の殺菌処理などに応用できる。太陽電池など自立型電源と組み合わせることで、緊急災害時用の飲料水供給システムを実現できる可能性もあるという。


発表資料

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