フラウンホーファー生産技術・オートメーション研究所(IPA)が、カーボンナノチューブ(CNT)を利用したアクチュエータで駆動するマイクロピペットを開発した。産業技術総合研究所(関西センター)健康工学研究部門の安積欣志氏らのグループが開発したCNTアクチュエータの応用製品として、フラウンホーファーIPAが試作。2013年1月30日~2月1日に東京ビッグサイトで開催された「nano tech 2013 第12回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で公開した。
高分子材料やカーボン材料などを使った生体適合性の高い医療用デバイスの開発は、近年活発に進められるようになっている。今回のマイクロピペットも主に医療用途を想定して開発したものであるという。ピペットの主なスペックは以下のとおり。
産総研が開発したCNTアクチュエータは、イオン液体と高分子で構成される電解質層を、CNT/イオン液体/高分子をこねてゲル化した電極層で挟んだ構造となっている。電極間に電圧を印加すると、イオン液体中のイオンが電極層内へ(または電極層内から)移動し、電極層が膨潤・収縮することでアクチュエータとして屈曲変形動作する。
今回のマイクロピペットでは、この屈曲変形動作を利用して、液体の吐出を行っている。CNTアクチュエータは、軽量・薄型・フレキシブルで低電圧駆動が可能であり、人体への親和性が高いといった特徴があるため、医療用途での様々な応用が検討されている。(文・写真/荒井聡)
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