産総研、昇温速度の速いグラフェンヒーターを開発

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産業技術総合研究所(産総研)が、マイクロ波プラズマCVDで合成したグラフェンを使って昇温速度の速いヒーターを試作した。ロール・ツー・ロール生産にも適合するという。2013年1月30日~2月1日、東京ビッグサイトで開催された「nano tech 2013 第12回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で発表した。

グラフェンヒーターの昇温動作 (nano tech 2013 産総研ブース)

ナノテク展の産総研ブースで、グラフェンを使って試作したシート状の透明なヒーターをデモ展示した。グラフェンヒーターに電流を流すとジュール熱によってグラフェンシートが発熱する。既存のヒーターと比べて急速に昇温するというデータが得られている。デモ展示では、グラフェンヒーターの昇温動作を視覚的に表現するために、市販の感熱インクがヒーターの熱で黒色から透明に変わる様子が示された。シート抵抗は1000~3000Ω/cm2とのこと。

グラフェンシートでは、結晶の一部に欠陥があっても他の部分が導電パスとなり、電流が流れ続ける。また、線ではなく面全体に電流が流れているため、ヒーターの昇温速度が上がると考えられるという。

マイクロ波プラズマCVDによるグラフェン合成は、プロセス温度が300℃程度と低く、グラフェンの成長速度が速いのが特徴。数十秒の間に5層程度までの多層グラフェンが成長する。このため、ロール・ツー・ロール生産にも適した製法であるとみられている。

ロール・ツー・ロール式プラズマCVD (産総研)

 

グラフェンヒーターの昇温データ (産総研)

 
熱CVDによるグラフェン成膜では1000℃程度の高温条件で30分~1時間程度かけてグラフェン層を成長させる。膜の結晶性は、熱CVDのほうが低温のマイクロ波プラズマCVDより良いが、成膜には時間がかかる。産総研では今後、マイクロ波プラズマCVDによるグラフェン膜の結晶性を上げることによって、タッチパネルなどで使用可能なITO代替の透明電極の開発を進めるという。(文・写真/荒井聡)


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