ORNL、全固体リチウム電池用にナノ構造化した固体電解質を開発

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米オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究チームが、リチウムイオン電池用の新しい固体電解質を開発した。ナノ構造化した硫化物固体電解質Li3PS4において、広い電位窓と高イオン伝導度を実現したとする。自動車用途などの高い安全性要求を満たす全固体リチウム電池に不可欠な材料技術として注目される。2013年1月10日付けの米国化学会誌(JACS)に論文が掲載されている。

ナノ構造化した固体電解質Li3PS4とその溶媒和前駆体 (Credit: ORNL)

リチウム金属負極を用いたリチウムイオン電池は、現在実用化されている炭素系負極と比べてエネルギー密度を5~10倍高められるとされている。電池の高容量化は電気自動車の航続距離を伸ばすための重要な課題だが、リチウム金属負極は反応性が高すぎるため、可燃性の有機系電解液と組み合わせた場合には安全性の面で深刻なリスクを抱えることになる。そこで、リチウム金属負極の使用に適合した不燃性の固体電解質の開発が進められている。

今回の研究では、Li3PS4の材料構造をナノ多孔質化することにより、室温条件下でバルクのLi3PS4と比べて1000倍程度速いリチウムイオン伝導度を実現した。電解質の電位窓(利用可能な電位領域)も5Vと広く、電池のエネルギー密度向上が期待できる。

論文では、Li3PS4のナノ構造化の効果として、次の2点を挙げている。(1)複数存在することが分かっているLi3PS4の高温相のうち、伝導度の高いβ相が、ナノサイズのフレームワークによって安定化する。(2)ナノ構造化によってβ相Li3PS4の比表面積が大きくなるため、表面伝導度が上がる。

研究チームは引き続き、実験室レベルの電池セルでのテストを行っており、特許については現在出願中とのこと。固体電解質の大量生産には、スケールアップが容易な常温での溶液法が使用できるとしている。写真のうち、左上は溶媒和前駆体の画像。これをもとに生成した固体電解質が、左下および右の画像である。


発表資料

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