分子研、光励起で超高速分離した電荷を長時間分離状態に保てる二次元高分子接合構造を実現。次世代太陽電池に応用期待

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自然科学研究機構分子科学研究所(分子研)の江東林(ちゃん どんりん)准教授らの研究グループが、電子供与体(ドナー)と電子受容体(アクセプター)からなる高分子を用いて、π カラム構造が周期的に繋がった接合システムの合成に成功した。この π カラム接合構造によって、超高速光誘起電子移動と長寿命電荷分離状態を実現した。 π カラム接合構造を有する材料を使った次世代太陽光発電システムの開発が期待される。2013年1月16日付けの Angewandte Chemie International Edition に論文が掲載されている。

ドナーとアクセプターからなる二次元高分子の基本構造。赤はドナーのフタロシアニン、青はアクセプターのナフタレンジイミド (出所:分子研)

光を電気に変換するには、ドナー/アクセプター界面において光励起で効率良くプラスとマイナスに電荷を分離し、その状態を長く保つことが重要となる。しかし、いったんは分離した電荷は強い電気的引力のため容易に会合し、電荷分離状態はすぐに失われてしまう。理論的には、ドナーとアクセプターが電子移動可能な近い距離に位置し、かつそれぞれが独立した連続構造を形成しながら接合していることが理想的とされる。

周期的な π カラム接合構造および電荷分離メカニズム (出所:分子研)

 
研究グループは、ドナーとしてフタロシアニン、また、アクセプターとしてナフタレンジイミドを用い、縮重合反応によって、ドナー・アクセプターからなる二次元高分子を高収率で合成した。この二次元高分子は、波長250~1100nmの幅広い領域の太陽光を吸収することができる。また、積層することによって、ドナーとアクセプターがそれぞれ上に来るように重なって、柱もしくは壁のような π カラム構造を形成する。したがって、 π カラムが周期的に繋がった接合システムを作り出すことができる。

ドナーからアクセプターへの光誘起電子移動反応を引き起こすには、ドナーとアクセプターを数nmという非常に近い距離に置く必要がある。今回の二次元高分子では、ドナーとアクセプターのカラム間に必ず接合界面ができ、電荷分離を効率よく引き起こすとともに、電荷分離状態を長く保つ分子の仕組みが出来上がっている。

具体的には、周期的な π カラム接合システムにおいて、光吸収から電子移動、電荷分離までの諸過程を 1.4 ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)という超高速で完了することができる。さらに、電子移動で生じた正孔と電子は、ドナーとアクセプターの π カラム中を長距離移動することができ、10マイクロ秒という長寿命の電荷分離状態を保つことができるという。究極の π カラム接合構造を有する材料として、次世代太陽光発電システム開発への展開が期待できる。


発表資料

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