コンピュータ予測使って有機半導体材料の開発期間を大幅短縮、スタンフォード大とハーバード大

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スタンフォード大とハーバード大の研究チームが、コンピュータによる予測アプローチを有機半導体の材料開発に導入。高い電子移動度を持つ新規有機半導体の開発期間を大幅に短縮することに成功したとのこと。有機半導体の開発には通常、数年単位の長い時間を必要とします。良好な特性を持つ新規材料を見つけるまでには、ある意味行き当たりばったりのプロセスを経て、大量の候補材料を合成し、それらをテストしなければならないからです。そこで今回の研究では、実際の合成・テストを行う前にコンピュータによる予測アプローチを用いて候補材料を予め絞り込むことが試みられました。

偏光を当てた新規有機半導体材料の単結晶。電子移動度は母材の約2倍。中央下の白いバーは10μmスケール (Credit: Anatoliy Sokolov, Stanford)

研究チームは、既知の有機半導体材料であるジナフトチエノチオフェン(DNTT)を出発点として、母材の性能を向上させる化学的・電気的特性をもつ様々な化合物を検討。有望と思われる7つの候補材料を考案しました。

ハーバード大のチームは、コンピュータを使って、これらの候補の中で最も電荷受容性が高いと思われる2種類の材料を予測。さらに、この2つのうちの一方について、分子間の電荷の受け渡し速度が際立って高いという計算結果を導出。こうして、実際の合成・テストを行う材料を選定しました。研究チームの分析では、新規材料は母材と比較して2倍の速さの電子移動度を持つことが予測されたといいます。

スタンフォード大の Anatoliy Sokolov氏によれば、新規材料を完成させ、テストに必要な量を合成するまでに1年半かかったとのこと。「作製した中で利用できる材料の割合は3%程度であり、さらにそれを純化しなければならなかった」とSokolov氏。

新規材料のテスト結果は、研究チームの予測を実証するものでした。電子移動度は母材の2倍の速さがあり、通常の液晶ディスプレイに使われているアモルファスシリコンの30倍の高速性能を実現しているといいます。

「7つの候補材料すべてを合成し、特性評価を行うためには数年の時間がかかったことでしょう。今回のアプローチでは、理論予測から最も有望とみられる材料を絞り込むことができました。これは、新規の高性能材料を真に合理的に設計した数少ない例です」とスタンフォード大の化学工学准教授 Zhenan Bao氏は話しています。

研究チームは、この手法を変換効率の高い有機太陽電池用の新材料開発にも適用しようとしています。

ハーバード大の化学・化学生物学准教授 Alan Aspuru-Guzik氏は「再生可能エネルギーの場合、すべての候補材料を試している時間はありません。新材料の発見を加速させるためには、合成アプローチを補完する理論が必要なのです」と語っています。

原文 http://bit.ly/mXBmxi
訳 SJN

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