NRL、集光時変換効率50%超の多接合太陽電池の実現めざす

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米海軍研究所(NRL)が、集光時の変換効率50%を超える多接合型太陽電池をめざした研究開発に取り組んでいる。民間企業では出資しにくい初期段階の革新的技術に対して米国エネルギー省(DOE)が助成する Advanced Research Projects Agency-Energy (ARPA-E) の枠組みを利用し、今後3年間、材料およびデバイス開発プログラムを進める。

NRLが設計した高効率多接合太陽電池のモデル (Photo: U.S. Naval Research Laboratory)

2012年末現在、三接合型化合物太陽電池では変換効率44%(947倍集光時)が世界最高値として報告されている。これは米国ソーラージャンクション社が開発した太陽電池の値で、測定は米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が行ったもの(NRELの発表資料)。また、非集光時の値としては、シャープの37.7%が最高となっている(NEDOの発表資料)。NRLでは、さらなる技術的ブレークスルーによる高効率の格子整合型多接合太陽電池セルを実現し、集光時の変換効率50%超をめざすという。

多接合太陽電池では、各接合ごとに光電変換される光の波長を変えることによって幅広い帯域の光を発電に使えるようにして変換効率を上げることができる。バンドギャップの大きな半導体材料で短波長の光を吸収し、より長い波長の光についてはバンドギャップの小さな半導体材料で吸収する。理論上は、無限個の接合を作ることで変換効率は87%近くにまで達するとされるが、実際には、幅広いバンドギャップを実現可能な半導体材料系の開発や、それを高品質に結晶成長させる技術など様々な課題がある。

NRLの研究チームは、新規の半導体材料を探索し、歪補償量子井戸によるバンドギャップ構造操作を加えることで、バンドギャップ 0.7~1.8eV の多接合太陽電池セルの設計を行っている。この多接合セルでは、すべての材料をInP(インジウム・リン)化合物ウェハーの結晶格子に整合させることになる。

NRLの物理学者 Robert Walters 氏は、「広範囲のバンドギャップにおいて格子整合する材料を見つけ出すことが、多接合太陽電池の変換効率の記録を破る上での鍵になる」と話す。InP化合物と格子整合する材料については、バンドギャップ1.4eV以下のものが知られている。しかし、それより高いバンドギャップを有する三元系半導体材料は存在していない。そこで研究チームは、高バンドギャップ材料として、InAlAsSb(インジウム・アルミニウム・ヒ素・アンチモン)の四元系半導体に着目している。InAlAsSbの直接バンドギャップは1.8eVの高さにでき、InPと格子整合して成長可能であるという。


発表資料

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