「不純物があったほうが有機太陽電池の変換効率は上がる」 英米豪の国際研究チームが実証

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英米豪の国際共同チームが、有機太陽電池に含まれる不純物について新たな知見を報告している。従来、材料の純度が高いほど有機太陽電池の性能は上がると考えられてきたが、今回の研究によると、不純物の存在が電子受容体(アクセプター)のドメインサイズを最適化し、むしろ変換効率の向上に寄与する場合があることが明らかになったという。有機太陽電池の性能向上アプローチとしては、材料を超高純度化するよりも、不純物添加によるドメインサイズの最適化のほうが簡単に実現できる可能性が高い。2012年1月発行の Advanced Energy Materials に論文が掲載されている。

高分子・フラーレン薄膜太陽電池のドナー/アクセプター界面の図解。赤い点がフラーレン誘導体、青い線がPTB7分子鎖。黄色の点が励起子、紫と緑の点のペアが電子正孔対を表している (Source: Lawrence Berkeley National Laboratory)

米ローレンス・バークレー国立研究所の放射光施設 Advanced Light Source (ALS) において、高分子系有機薄膜太陽電池のドナー/アクセプター界面のドメインサイズ、組成および結晶性の同時測定を行った。測定には、ALSに設置された3つのビームライン(共鳴軟X線散乱、小角・広角X線散乱、走査型透過X線顕微鏡)を利用した。

クロロベンゼン溶液から作製した薄膜中における高分子PTB7とフラーレン誘導体PC71BMの混合膜について、体積パーセント濃度3%の溶媒ジヨードオクタンを添加した場合および添加しない場合について調べた。薄膜は液滴状の分散系で構成されており、添加剤なしの場合、主要アクセプターのドメインサイズは177nm程度となった。添加剤を加えると、アクセプターのドメインサイズは34nm程度まで縮小した。一方、薄膜の組成および結晶性は元のまま保持された。この結果、有機薄膜太陽電池の変換効率は42%増加した。

研究リーダーであるノースカロライナ州立大学の物理学者 Harald Ade 氏は、今回の研究について「有機太陽電池の実際のアクセプター純度とドメインサイズに加え、ドナードメインとの界面の状態についても初めて明らかにした。これにより、溶媒と添加剤がデバイス性能に劇的な影響を及ぼすことや、それをシステマチックに研究できることを実証した」と説明。「将来的には、高分子系有機薄膜太陽電池の合理的設計を進める上で、今回の技術が役に立つはずだ」と話す。


発表資料

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