米オークリッジ国立研究所、燃料電池の反応観察に適した「電気化学歪み顕微鏡法」を開発

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米オークリッジ国立研究所が、燃料電池の化学反応観察に適した新手法「電気化学歪み顕微鏡法(ESM: Electrochemical Strain Microscopy)」を開発したとのこと。固体中のイオン移動を画像化することが可能であり、燃料電池の性能向上や貴金属触媒の使用量低減などの研究が進むことが期待されます。

イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面上に白金(Pt)粒子の電気化学的活性を重ね合わせたESM画像。三相界面(TPB)に沿って活性が増強されていることが分かる (Image courtesy of Oak Ridge National Laboratory)

ESMを用いることで、燃料電池材料内での酸素還元反応・酸素発生反応の動的分析が可能になるといいます。酸素還元反応は燃料電池の効率と寿命をコントロールする重要な反応であり、反応促進のためには多量の白金触媒が使用されますが、この反応がどこでどのように起こるのか、いまのところ正確には解明されていません。既存の電気化学的な手法は、解像度が足らないためナノスケールでの反応の観察には適しておらず、一方、ある種の電子顕微鏡法は、解像度が高すぎるために燃料電池の動作反応を動的に捉えることができないからです。

「燃料電池がどのように動作するのかを理解するためには、個々の原子の位置ではなく、ナノスケールでの原子の移動に注目する必要があるんです」と研究チームの Sergei Kalinin氏は話します。「固体中を移動するイオンは液体のように挙動し、1か所に止まることがありません。イオンが高速に移動すればするほど、燃料電池としての材料性能は向上します。ESMは、このイオンの移動を画像化することができるのです」

また、Kalinin氏は、燃料電池分野の研究を次のように特徴づけています。

「燃料電池などのエネルギーデバイス分野では、基礎科学と応用化学の間に大きな隔たりがあります。例えば、半導体産業が指数関数的に発展しているのは、応用技術と基礎科学のつながりが非常に良く確立されているからです。エネルギーデバイスには、これがあてはまりません。この分野は半導体と比べてもさらに複雑であり、開発はほとんど試行錯誤によって進められているのです」

研究チームは、ESMが燃料電池の基礎研究と応用研究との間のギャップを埋める役割を担うことになる、としています。

原文 http://1.usa.gov/olKq3V
訳 SJN

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