酸化グラフェン、放射能汚染水の処理にも使える … ライス大ら

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ライス大学とモスクワ大学の研究チームが、酸化グラフェンを用いて放射性物質を急速に吸着できると報告している。電子デバイスをはじめ、様々な分野で機能性材料として注目されているグラフェンだが、放射能汚染水の処理にも利用できる可能性がある。2012年12月20日付けの英国王立化学会誌 Physical Chemistry Chemical Physics に論文が掲載されている。

左:酸化グラフェン溶液。右:酸化グラフェンを擬似放射能汚染水に添加したもの。急速に凝集し、容易に除去できるようになる (Image by Anna Yu. Romanchuk/Lomonosov Moscow State University)

酸化グラフェンは大きな表面積を持っているため、毒素の吸収保持力が高いことは予想されていた。しかし、その吸着速度は、研究チームも予期せぬ程の速さだったという。

酸化グラフェンの吸着速度を調べるために、研究チームは、ウラン、プルトニウムなどの放射性物質にナトリウムやカルシウムなどを混ぜて作った擬似的な放射能汚染水によるテストを行った。ナトリウムやカルシウムは吸着性に負の影響を及ぼすものだが、酸化グラフェンはその場合でも、放射能除去作業で通常使用されるベントナイト粘土および活性炭を凌駕する吸着能力を示した。擬似汚染水に導入された酸化グラフェンは数分以内に凝固し、放射性物質を急速に凝集させる。このプロセスは広範囲のpHにわたって機能するという。

研究チームが特に注力したのは、アクチノイド系およびランタノイド系の放射性同位元素を、固体や気体からではなく、液体から除去することだった。放射性物質の水への混入は、人の健康や環境の観点から最も好ましくないためである。また、地下の掘削作業においても、水圧破砕用の流体に自然の放射性核種が混入することがある。掘削井戸から汲み上げた地下水の放射線量が一定レベルを超えている場合、それを地下に戻すことはできず処分場に運ばなければならなくなるため、企業の負担は非常に高くなる。掘削現場で汚染水をろ過できるようにすれば、大幅なコスト節減につながると考えられる。

また、自然の放射性物質は、レアアース鉱山にも付き物である。現在レアアース市場を中国が独占している理由の1つに、米国などその他のレアアース産出国と比較した環境規制の緩さがあることを考えると、採掘現場での放射性物質フィルタリング技術によって中国以外の地域でのレアアース産出が促される可能性もある。

酸化グラフェンで放射線核種を捕集しても放射能が減るわけではないが、より扱いやすいものにはできる、とライス大の化学者 James Tour 氏は説明する。「福島原発のように膨大な量の放射能汚染水が溜まっている場所では、酸化グラフェンを添加することでそれを溶液中のイオンの状態から固形の物質に戻すことができる。酸化グラフェンはすぐに燃やすことができ、再利用可能な放射性物質の塊が得られる」と Tour 氏は話す。また、酸化グラフェンは低コストで生物分解可能であるため、透過壁を地下に埋め込んで汚染水の拡散を防ぐ透水性反応性バリア(PRB)といった新しい技術にも向いているとしている。


発表資料

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