東北大、CNTベアリングの大量合成に成功。CNTにはめ込まれたフラーレンがコマのように回転

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東北大学大学院理学研究科の磯部寛之教授の研究グループが、独自に化学合成した有限長カーボンナノチューブ(CNT)に、化学修飾したフラーレンを詰め込むことで、世界最小のCNTベアリングを作製した。ベアリング動作するCNT構造体は分子1個レベルでは先行例があるが、今回の研究では、ボトムアップ化学合成によって精密な分子構造設計と同時に分子 1023 個(モル量)という量産レベルでの合成を実現した点が注目される。2013年1月9日付けの英国化学会誌 Chemical Science に論文が掲載されている。

CNTベアリングを横から見た静止図。外側のベアリング(赤)の中に、軸(青)がついた回転子(灰色)が取り込まれている。ベアリングは化学合成した有限長CNT、回転子は化学修飾したフラーレン (出所:東北大学)

今回作製されたCNTベアリングでは、有限長CNTが外枠(ベアリング)、化学修飾したフラーレンが回転子(ジャーナル)として機能する。CNTとフラーレンを混ぜ合わせると、回転子が自発的に外枠にはめ込まれ、回転中に外れないよう強固に保持されるという。

回転子は軸(シャフト)を中心としてコマのように軸回転していることが、スペクトル分析によって証明されている。また、1023 個という莫大な数の分子ベアリングが同程度の回転速度で回っていることも確認されており、その回転速度が温度によって制御できることも示唆されている。

CNTベアリングを上から見た連続図。中の軸付き回転子が軸を中心にして異方性をもって軸回転している。ナノメートルサイズのコマが枠のなかで回転しているような運動となる (出所:東北大学)

ベアリングをナノサイズまで小さくした分子ベアリングでは摩擦がほとんど生じなくなり、軸回転によるエネルギー損失が限りなく小さくなると考えられている。今回、CNTベアリングの大量合成が実現されたことで、こうしたナノスケール特有の現象を量産レベルのナノマシンなどに応用できる可能性が出てきたといえる。

今回のCNTベアリングで使われている有限長CNTは、ベンゼン環が環状につながったもので、CNTとしては最短の構造となる。磯部氏らのグループは2011年に、クリセンと呼ばれる芳香族分子4つをカップリング反応で環状につなげる化学合成によって「らせん型」と「アームチェア型」の有限長CNTを混合物として合成する方法を開発。2012年には、クリセン分子をつなげる位置を変えることで「ジグザグ型」の有限長CNTについても選択的な化学合成を実現している。


東北大学の発表資料

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「東北大、CNTベアリングの大量合成に成功。CNTにはめ込まれたフラーレンがコマのように回転」への12件のフィードバック

  1.  このまえ、日本トライボロジー学会でSLD-MAGICとかいう工具鋼の自己潤滑性の話と似てますね。この材料の表面では似たようなボールベアリング構造が出来るらしい。

  2.  それって日立金属さんの材料でしょ?私も聞きましたが東北大のものよりサイズが小さく、自己組織化する反応を使っているので摩擦面に自動的にできるという話だったとおもいます。いずれにしてもナノマシンができる時代になったんですね。

  3.  低フリクション化がナノマシンの実用化の突破口だったのか・・・・感慨深い。

  4. 低フリクション化がナノマシンの実用化の突破口だったのか・・・

  5.  そのボールベアリング状の物質ってグラファイト層間化合物でしょ?興味深いメカニズムですよね。

  6.  そうだったんだ。ハイテンのプレス金型で数々の実績。そのナノメカニズムはこのようなことだったのですね。

  7.  風力発電なんかのベアリングに向いているんじゃないのかな?

  8.  とにかく新素材開発の裾野は広い。アベノミクスの補助金で中小企業がわんさか環境ビジネスに参入しているころだろう。

  9.  今や時代は低粘度オイルの時代ですから、境界潤滑状態がふえるし、極圧添加剤もSOxの環境問題で入れられないとなるとこのような高PV値材料の重要性はますます増えるでしょうね。

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