カリフォルニア工科大、光の回折限界を超えて数nmの微小領域に光を絞り込むナノ集束デバイス開発

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カリフォルニア工科大学の研究チームが、光を数nmの細さに集束できる光導波路デバイスを開発したとのこと。コンピュータ、情報通信、イメージングなどの分野での多様な応用が期待される。2012年11発18日付けの Nature Photonics に論文が掲載されている。

ナノ集束デバイスのSEM画像 (Credit: Caltech/Hyuck Choo and Myung-Ki Kim)

光学デバイスを使って光を細く絞っていく場合、通常は光の波長のサイズまでしか集束できない。この物理的な限界が「光の回折限界」であるが、今回開発された光導波路デバイスでは、回折限界を超えて、数nmという極微細なサイズに光を集束できるようにしたという。

デバイスの形状は、片方の終端が細く絞られた全長2μmの長方形型となっており、アモルファスシリコン酸化物に金の薄膜をコーティングした材料が使われている。導波路を通して光が送られると、金とシリコン酸化物の界面で光子と電子が相互作用し、これらの電子の振動がデバイス中を波として伝わっていく(空気の分子の振動が音波として伝わるのと似ている)。電子の振動が光と直接的に結合しているため、光と同じ情報や特性を担うようになる。つまり、電子の振動が光の代理者として働くことになる。

新規デバイスでは、光だけを集束するのではなく、上述のように光と結合した電子の振動を集束する。この振動は、表面プラズモンポラリトン(SPP)と呼ばれる。SPPは導波路の中を移動しながら集束され、細く尖った先端を通過する。

これまでに報告されているオンチップのナノ集光デバイスは、入射光に対してわずか数%の光だけを細い線上に集束させるものであり、残りの大部分は吸収されるか散乱してしまう非効率なものだった。一方、今回のデバイスでは、光を三次元的に集束し、数nmサイズの点状に絞り込むことができるようにした。デバイスを通過する全光のうち、半分程度を集束できるという。集束するポイントをもう少し大きくし、14nm×80nmとした場合には、集束率は70%に上がる。

この技術は、例えば、高解像度のバイオイメージングに応用できると考えられる。バイオイメージングで用いられる蛍光タンパク質にピンポイントで極細の光を照射して発光させることで、蛍光タンパク質の高解像度な分布図を得ることができる。また、微小な領域から発する光を逆方向からナノ集束器に通して拡大することによって、高解像度の顕微鏡としても利用できる。

同技術を熱アシスト方式によるHDDへの磁気記録に応用すれば、コンピュータのメモリ大容量化につながる可能性もある。ハードディスク上の磁区の磁化方向を反転させるためにレーザー加熱を利用する場合、現在の技術では面積300nmの領域までしかレーザーを絞り込めない。今回のデバイスを使えば、より小さな磁区でもピンポイントにレーザー加熱して反転できるようになるので、1平方インチあたり50テラバイトという超高記録密度のHDDが実現する可能性があるという。

研究チームによると、このデバイスは半導体チップの標準的な製法によって作られているため、既存の技術と容易に統合できるとのこと。今後は、デバイスの設計を最適化し、画像計測装置およびセンサの作製に着手するとしている。


http://bit.ly/Vf9aXx

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