「表面形状をミクロンオーダーで瞬時に3D化」MITがポータブル撮像デバイスを開発

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

MITの研究チームが、試料の3D画像化を容易にする新しい撮像技術を開発し、携帯可能なデバイスとして実用化したとのこと。従来技術と比較して装置の小型化と撮像時間の大幅短縮を実現。すでに複数企業からの引き合いがあるそうです。

紙の表面に書かれた「インク」という文字のインク粒子をGelSightで撮像 (Image: Micah Kimo Johnson)

「GelSight」と名付けられたこのデバイスのコア技術は、透明な合成ゴムの板です。ゴム板の片面には微小な金属片を含有した塗料がコーティングされており、試料の表面にゴム板を押しつけるとコーティングされた面が変形。反対側の面に実装されたカメラでこれを撮像し、コンピュータの画像処理アルゴリズムを使って分析します。

GelSightの画像は、横断方向2μm、深さ方向1μm未満と高解像度。さらに、複数の角度からの入射光でゴムの変形を計測しているため、計測データを3D画像化してコンピュータ画面上でグリグリ動かすことも可能です。

従来、こうしたミクロンオーダーでの撮像には共焦点顕微鏡や白色光干渉計などの大がかりで高価な装置が必要とされ、3D画像化にも数分から数時間の時間がかかっていました。また、多くの場合、こうした機器は除振台の上に設置しなければなりません。しかし、GelSightは片手で持てるソーダ缶サイズの大きさであり、測定者は観察試料の表面でデバイスを動かして測定することができます。そして、3D画像化もほとんど即時に生成可能としています。

宇宙航空産業や製造業などの複数企業が、製品の欠陥検査へのGelSightの採用を検討しており、すでに研究チームとの協議に入っているとのこと。また、科学的犯罪捜査の専門家もこの技術に関心を示しており、他にもホクロと癌性増殖を見分ける皮膚科学や、生体認証などの分野への応用も可能です。

つめ磨きの表面。(上)結晶が光を反射するため表面構造が分かりにくい。(下)GelSightで撮像。このように構造が鮮明に画像化される (Image: Micah Kimo Johnson)

従来技術では3D画像化が難しかったタイプの表面形状に対応できることも、GelSightの利点だといいます。研究チームのMicah Kimo Johnson氏は、その一例として「つめ磨き」の表面を挙げています。つめ磨きの表面を拡大すると、マーマレードに良く似た赤とオレンジ色のゼリー状に組み合わせが見られます。

「この材料の光学特性によって、表面構造の観察が非常に難しくなっているんです。光は材料と相互作用を起こしています。結晶が透明なので光は材料を通過しますが、同時に反射されて戻ってもくるんです」

しかしながら、材料表面をGelSightに押し付け、金属塗料が表面の形状に合わせて変形した瞬間、表面の光学特性は突然、完全に均一になるといいます。「これで表面構造は観察しやすくなり、ごく標準的なコンピュータ画像処理技術でも計測可能になるんです」とJohnson氏。

なお、GelSightの開発は、ロボット用の触覚センサの開発プロジェクトをきっかけにして始まったとのこと。開発したシステムが、触覚センサに必要な解像度よりも遥かに高い解像度を実現できることに気付いた研究チームは、塗料に含有させる金属片の微細化、光学系の変更、画像処理アルゴリズムの再設計などを行い、GelSightを完成させたそうです。

原文 http://bit.ly/p31iXn
訳 SJN

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...