プリンストン大、金ナノメッシュ構造で有機太陽電池の変換効率を3倍近く向上

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プリンストン大学の研究チームが、有機太陽電池の変換効率を3倍近く向上できる技術を開発したとのこと。太陽電池表面にメッシュ状の金ナノ構造を形成することによって光の反射を低減し、有機発電層に取り込まれる光の量を増やすという。2012年11月28日付の Optics Express に論文が掲載されている。

従来型太陽電池(左)とPlaCSH太陽電池(右)の比較 (Illustration by Dimitri Karetnikov)

表面の金ナノメッシュは膜厚30nmで、直径175nmの細孔が25nm間隔で配列した構造となっている。発電に利用される可視光の波長よりも孔の直径や膜厚のほうが小さいサブ波長構造であることから、表面プラズモン効果によって光の反射率が大幅に低減。ほとんどすべての光が太陽電池内部に閉じ込められるようになるという。研究チームは、このシステムを PlaCSH(plasmonic cavity with subwavelength hole array)と呼んでいる。

裏面にも金属層を配し、有機発電層を上下の金属層でサンドイッチ状に挟んだ構造のPlaCSH太陽電池を作製し、その変換効率を測定した。セルへの直達光の反射率は4%程度に低減し、96%の光が吸収されることで従来型太陽電池と比べて変換効率が1.52倍増加した。さらに、曇天時などの散乱光に対する変換効率は1.81倍増加した。これらを積算したPlaCSH太陽電池の変換効率は、トータルで従来型の2.75倍増加したことになる。ほとんどの光を吸収してしまうため、PlaCSH太陽電池の表面は黒色に見える。

金ナノメッシュの電子顕微鏡像 (Image credit: Chou lab)

PlaCSH太陽電池の構造 (Image credit: Chou lab)

同様の構造を適用することで、有機太陽電池に限らず、シリコン太陽電池やGaAs太陽電池などどんな種類の太陽電池でも変換効率が向上すると考えられる。シリコン太陽電池に適用した場合、シリコン層の厚さを従来の1/1000程度に減らせる可能性がある。ただし、これらについては、今回の研究では実証されていない。

研究リーダーの電気工学者 Stephen Chou 氏は、壁紙サイズのシート状のPlaCSH太陽電池を低コストで製造することができると説く。これには、1995年に同氏が提唱したナノインプリント技術を用いるという。PlaCSHのもう1つの利点として、ITO代替の透明電極に使えるということが挙げられる。硬く脆いITOと異なり、PlaCSHは大きく曲げることができるため、フレキシブル太陽電池用の透明電極として利用できると考えられる。


発表資料

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