オックスフォード大、触媒毒COの出ない燃料電池用触媒を開発。電池の長寿命化に期待

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オックスフォード大学らの研究チームが、メタノール改質の反応過程で一酸化炭素(CO)が発生しない新しい燃料電池用触媒を開発したとのこと。メタノールから水素を直接生成でき、燃料電池のプロトン交換膜にダメージを与える一酸化炭素が発生しないため、電池の長寿命化につながると考えられる。反応温度も150℃程度と低い。2012年11月27日付けの Nature Communications に論文が掲載されている。

触媒微粒子内部での原子の分布状態(Kai Man Kerry Yu et al., Nature Communications (2012) doi:10.1038/ncomms2242)

メタノールを燃料に用いるタイプの燃料電池では、まず高温の水蒸気改質プロセスによって一酸化炭素と水素の合成ガスを作り、続いて水性ガスシフト反応によって一酸化炭素を低減させつつ水素と二酸化炭素の生成を行う。このプロセスでは一酸化炭素を完全に取り除くことができないため、一部の一酸化炭素がプロトン交換膜に供給される。一酸化炭素は触媒毒として作用することで膜を劣化させ、これが燃料電池の寿命を縮める原因となっている。

今回の研究では、この問題を解決するため、反応温度150~200℃でメタノールから水素と二酸化炭素を直接生成させる新規の触媒 CuZnGaOx を開発した。従来プロセスと比べてシンプルな1ステップの反応によって高品質な水素と二酸化炭素が生成でき、一酸化炭素の生成は検出限界の1ppm未満に抑えられる。150℃という低い温度で、実用的な量の水素ガスを一酸化炭素フリーで生成できるプロセスは、今回初めて実現したものであるという。

開発された触媒の機能部位には、平均3~4nm径の銅ナノ粒子と欠陥を有するスピネル酸化物 ZnGa2O4 の表面で安定化した極微小の銅クラスタが含まれている。150℃での1時間の水素生成能力は、触媒1gあたり393.6mlとなっている。研究リーダーのオックスフォード大 化学教授 Edman Tsang 氏は、今回の成果について、「自動車に応用するには触媒活性が低すぎるが、0.5~100Wの電力があればよい携帯機器用の小型燃料電池向けとしては十分である」と話している。

図(a) は、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF)で撮像した還元後の CuZnGaOx 触媒。大きめの銅粒子(7~9nm)と微小な銅クラスタ(0.5~2nm)の二峰性分布が見られる。(b)は、還元後の試料のAPT(atom probe tomography)データ。赤色で示した固体マトリクス中に銅粒子(4~8nm)と高密度の銅クラスタがあることが示されている。(c)は、銅を豊富に含む微小領域での原子マップ。スケールバーは2nm。(d)は、(c)中の領域Aにおける銅の分布の詳細。スケールバーは1nm。(e)は、質量分析で特定した領域Aにおける銅の信号。


発表資料

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