カリフォルニア大、太陽光発電の出力変動予測ツールを開発

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雲が出てくると太陽光パネルの出力はどのように変動するでしょうか。また、こうした変動を予測することは可能でしょうか。カリフォルニア大学サンディエゴ校のJan Kleissl教授と博士課程のMatthew Lave氏は、これらの問いに答えを出しました。さらに、系統電力へ接続された太陽光パネルが雲によってどのように変動するかを電力網管理者が簡単に予測できるソフトウェアの開発も行いました。このプログラムには、Lave氏が発見した太陽光の変動に関する法則が利用されています。

PV Forecasting Tool

予測ツール操作画面

オバマ大統領が全米でスマートグリッドの導入を推進している最中に、この研究成果は得られました。進歩した電力網では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーがより良く利用されるようになるでしょう。

家庭や企業への電力供給源として再生可能エネルギーを利用する電力会社も増え続けています。例えば、サザンカリフォルニアエジソンは今月、大規模な太陽光発電所を電力網に追加し、これによって起こる出力変動に対応するため配電設備を一新すると発表しています。

Kleissl氏とLave氏の研究成果によって、系統電力に接続できる太陽光発電の量は大幅に引き上げられる可能性があります。今のところ、出力変動の懸念があるという理由から、家庭でのピーク需要時に系統電力へ接続できる太陽光発電の量は15%に制限されており(カリフォルニアであれば晴れた週末の午後などが典型例)、電力会社にはさらなる調査研究が求められているのです。系統運用者がより正確に太陽光発電システムの変動性を予測できるようになれば、この制限値の引き上げが可能になるでしょう。カリフォルニアでは、2011年4月に成立した法律により、公営電力会社を含む州内の全電力卸売業者に対して、2020年までに販売電力の33%を再生可能エネルギーとすることが要求されています。

ちなみに、彼らの研究では、小規模な太陽光パネルを多くの場所に分散させて設置した方が、一か所に大量に配置したときよりも出力変動の影響が軽減されることが示されています。パネルを分散させることで、一つの雲があるパネルを覆っている時、他のパネルが同じ雲の陰に入る確率が低くなるからです。

「カギになるのは、パネル群の間の距離です」とLave氏。

太陽光発電の出力変動は、長い間、世界中の電力会社が大いに懸念してきた問題です。しかし、Kleissl氏とLave氏は、大規模太陽光発電の変動性が従来考えられてきたよりもかなり小さいことを明らかにしました。また、その変動性は、一か所の測候所での測定結果に基づいて、正確かつ容易にモデル化することが可能であるといいます。今週、Kleissl氏はコロラド州ゴールデンの国立再生可能エネルギー研究所で、「太陽光の変動性が発電所に与える影響のモデリング」というタイトルの論文を発表しました。

彼の研究成果は、カリフォルニア大学サンディエゴ校の太陽光発電網から得られた1年分のデータに基づくものです。この施設は、米国内最大規模の観測用電力網であり、16か所の測候所と総出力1.2MWの太陽光パネル5900枚を備えています。Lave氏は測候所が1秒間隔で送信してくる日射量の変動データを観察しました。日射量は太陽光パネルの発電量と相関します。

こうした観察に基づいて、彼は、測候所間の距離を出力変動のタイムフレームで割ったとき太陽光の変動性に関する法則が現れることを見出しました。この操作を思いついたのは、今年の3月に開催されたフォーラムでクリーンパワーリサーチという会社が行ったプレゼンテーションがきっかけだったそうです。「任意の二組の測候所について、どの期間についても、この変動法則は適用できます」とLave氏は言います。言い換えれば、どのような形で電力網につながっている太陽光発電システムであっても、任意のタイムフレームについて、システム変動性を定量化するためにこの法則が適用可能であるということです。

しかし、Lave氏の研究はここで終わりにはなりませんでした。彼は計算ソフトMATLABで簡単に使えるインターフェースを開発し、系統電力の設計・運用者が太陽光発電システムの変動性をシミュレーションできるようにしたのです。データはテキストファイルで入力可能であり、ユーザーはグーグルの衛星地図上で、各発電システムの周囲にポリゴン図形を描くこともできます。指定した日時の日射量測定結果に基づき、発電システム全体の総出力の変動性がモデルによって計算されます。

「このツールは、塗り絵のように簡単です」とKleissl氏は言います。「グーグル・マップ上で、太陽光パネルは屋根の上の暗い四角形に見えます。その周りにポリゴンの図形を描き、ボタンを押すと、総変動量が表示されます」

Kleissl氏は、太陽光発電システムが大規模に配置されたとき、電力供給システムの電圧が不安定になるかどうかを計算するためにこのツールが役に立つと予想しています。この観点からは、いま現在導入されている太陽光発電システムのほとんどは、いまのところ大きな問題を起こすような容量には達していません。しかし、米国エネルギー省のサンショット構想を通して太陽光発電システムの普及と低コスト化が進むにつれて、状況は変わるでしょう。その時が、彼らの開発したシステムの出番になります。

現在このツールは公開に向けて最終調整中です。また、作者らは、ツールを運用するために太陽光発電システムの立地・規模のデータを提供できるサードパーティからのリクエストを歓迎しているとのことです。

原文 http://bit.ly/jeWBna
訳  SJN

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