戸田工業、窒化鉄ナノ粉末の量産化技術を開発。レアアースを全く使用しない最強の磁石特性に期待

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戸田工業が、レアアースを全く使用しない最強の磁石特性が期待される窒化鉄(Fe16N2)ナノ粉末の量産化技術開発に成功した。2013年末には、年産200kgレベルのサンプル出荷が可能となる。同社では、窒化鉄ナノ粉末のサンプル供給によって部品・部材成型の実証が可能となり、需要喚起の起爆剤になると期待している。

10gレベルで得られる高純度な窒化鉄ナノ粉末(出所:戸田工業)

2011年3月、同社と東北大学高橋研教授らの共同研究チームが、世界で初めて高純度窒化鉄ナノ粉末の単相分離に成功。10gレベルの合成が可能なことを実証した(NEDOの発表資料)。この成果を基に、戸田工業が自社のナノ粉末量産技術を融合して量産化にこぎつけた。当面は、高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)を中心にサンプル提供し、アプリケーション化に向けた高密度磁石成型体化への技術確立を進める。また、需要動向を踏まえ、数年後には数トンレベル、その後数十トンレベルの量産化をめざす(戸田工業の発表資料)。

窒化鉄は、現在最強の磁石とされるネオジム-鉄-ボロン(Nd-Fe-B)系磁石の性能を凌駕する可能性のある磁性材料。純鉄よりも高い飽和磁化、大きな結晶磁気異方性を持ち、鉄と11at%の窒素のみから構成される。レアアース・レアメタルを含まない強磁性体窒化物であり、国内外で開発競争が激化している。

α"型窒化鉄の結晶構造(出所:NEDO)

1972年、東北大の故・高橋實教授が窒化鉄の存在を提唱した。当時は薄膜としては得られたものの、粉末として抽出することはできなかった。昨年になって、戸田工業と東北大、京都大、千葉工業大、倉敷芸術科学大、帝人、トヨタ自動車、NIMS、産総研、電気磁気材料研究所の10機関が参画するNEDO・希少金属代替材料開発プロジェクトが窒化鉄単相粉末の分離・生成に成功した。

NEDOプロジェクトの研究では、X線回折による結晶構造解析から、窒素原子が歪んだ鉄の結晶構造中で秩序を持って配列していることを意味する超格子回折が多数観察されており、合成した強磁性窒化鉄がα”(アルファ・ダブルプライム)型の結晶構造であることが確認されている。飽和磁化値は、50Kの極低温で230emu/g、室温で221emu/gを示した。従来のバルク形態純鉄の飽和磁化値220emu/g@50Kおよび218emu/g@室温を大きく上回っており、理論値(240emu/g)に迫っている。さらに、一定の外部磁場で磁化が反転する様子を詳細に解析した結果、磁石としての特性を左右する結晶磁気異方性定数が、これまでの強磁性窒化鉄薄膜形態の実験での最高値である約1×107 erg/cm3 相当になることも確認されている。


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