チャルマース工科大ら、太陽熱を長期保存できる分子デバイスを開発

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チャルマース工科大学とカリフォルニア大学バークレー校の研究チームが、太陽熱エネルギーの捕集・貯蔵・利用が可能な分子デバイスを開発したとのこと。フルバレン・ジルテニウム分子(fulvalene diruthenium)の熱化学プロセスを利用して熱エネルギーを長期保存し、必要に応じて取り出すことができる。Energy & Environmental Science (2012年 第9号)に論文が掲載されている。

フルバレン・ジルテニウムの分子構造の変化。図中、左は低エネルギー状態。中央は遷移状態。右は高エネルギー状態(Picture: Karl Borjesson)

光や熱など太陽エネルギーの利用において、エネルギーの貯蔵は大きなネックとなる問題の1つ。これを解決するアプローチとして、フルバレン・ジルテニウムによる熱エネルギー貯蔵技術が、2010年にマサチューセッツ工科大学(MIT)など米国の研究グループによって提案された(Angewandte Chemie の掲載論文)。今回、この理論に基づく実デバイスが初めて開発されたことになる。

分子太陽熱デバイスの構造(Source: Chalmers University of Technology)

デバイスは、太陽熱コレクタ、触媒リアクタ、熱交換器の3要素で構成され、これらがマイクロ流体システムの中でつながっている。太陽熱コレクタで集めた熱エネルギーによって、フルバレン・ジルテニウムの分子構造が変化。安定した化合物に結合された状態で、熱エネルギーが損失なく運搬・貯蔵できるようになる。触媒作用によって分子を最初の状態に戻すと熱エネルギーが解放される。システムは繰り返し再利用可能。貯蔵時のエネルギー密度は 110 J/g であるという。

この方法の利点は、太陽熱エネルギーを利用するための総合的ソリューションを提供できるところにある。他の多くのシステムでは、太陽エネルギーが最終消費者に届くまでにいくつかの異なった技術をリンクさせる必要がある。研究チームの Kasper Moth-Poulsen 氏は、「我われのシステムには、エネルギー貯蔵が最初から組み込まれているので、夜間や冬など太陽熱エネルギーを使うときまで容易に貯めておくことができる。長期的には、この技術は水を温めて太陽熱エネルギーを貯蔵する方法を代替できると考えられる」と話す。目下の開発課題は、高温でのシステム高効率化や、技術の大規模化と既存のエネルギー生産への統合などであるという。


発表資料

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