京大、太陽エネルギー利用してCO2資源化めざす。新しい有機合成手法を開発

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京都大学 大学院工学研究科 村上正浩教授らのグループが、太陽エネルギーを利用し、二酸化炭素をアミノケトンに導入する有機合成の新手法を開発した。太陽光を駆動力として有機化合物に二酸化炭素を取り込むための基礎的な方法論を提案・実証したものであり、この方法論を押し進めることで、温室効果ガスである二酸化炭素を炭素資源として活用できるようになると期待される。2012年11月6日付の Angewandte Chemie に論文が掲載されている。

太陽エネルギーを駆動力とする二酸化炭素取り込みの概念図(出所:京都大学)

研究チームは、太陽エネルギーを駆動力として二酸化炭素を取り込む手法として、太陽エネルギーを取り込む反応(明反応)と、二酸化炭素を取り込む反応(暗反応)を連続的に行うことを提唱し、実験で確かめた。

実験の様子とアミノケトン(1)への二酸化炭素の取り込みプロセス(出所:京都大学)

今回用いられたアミノケトンは、アミノ基を置換基として持つケトンで、アミノ酸などから容易に合成される有機化合物。これを有機溶媒DMAに溶かし、パイレックス製ガラス容器に入れて太陽光にさらすと、アミノケトンが太陽光のエネルギーを吸収し、高エネルギー中間体アゼチジノールが生成される。続いて、この反応溶液に炭酸セシウムを添加して60℃に加熱すると、二酸化炭素の取り込みが起こり、83%の収率で環状炭酸エステルが生成される。環状炭酸エステルは、医薬品原料や燃料添加剤の用途が期待されるという。

A)日射量とアミノケトン残存率(●)、アゼチジノール収率(▲)。B)晴れた日(▲)と曇りの日(■)におけるアゼチジノール収率の経時変化(Dr. Naoki Ishida et al., Angewandte Chemie(2012) doi:10.1002/anie.201206166)

中間体アゼチジノールは、太陽光が強いほどよく生成されるが、曇りの日でも反応は進む。実験では、晴れた日の太陽光に8時間さらし、日射量合計 5.5kWh/m2 となったとき収率91%でアゼチジノールが生成された。曇りの日の場合、8時間露光による日射量合計は 0.9kWh/m2 で、アゼチジノールの収率は54%だった。

将来的には、二酸化炭素の資源化だけでなく、太陽光のエネルギーを駆動力として用いる環境に配慮した精密物質変換が可能になると期待される。なお、今回の研究では、二酸化炭素を取り込むことに成功したが、二酸化炭素の酸化状態は変化していない。今後は還元過程を含む反応の開発に取り組む予定であるという。


発表資料

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