携帯機器の充電に使える高電圧の有機太陽電池、ウォーリック大が開発

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ウォーリック大学の化学教授 Tim Jones 氏らの研究チームが、高電圧での出力が可能な多接合型有機太陽電池を開発したとのこと。電子書籍リーダやカメラ、携帯電話などのバッテリ充電に適しているという。2012年10月1日付 Advanced Energy Materials に論文が掲載されている。

図1 今回の有機太陽電池で使われたドナー/アクセプターの化学構造 (Paul Sullivan et al., Advanced Energy Materials (2012) doi:10.1002/aenm.201200560)

この有機太陽電池は、開放電圧(Voc)が7Vと高いことが特徴。セルの一部に影のかかった不均一な光や、ぼんやりと弱い光の下でも、リチウムイオン電池の充電に必要な4.2V程度の電圧を確保することができるとする。

光学モデリングの手法を用いて有機発電層の積層構造を最適化することにより、多接合セルで変換効率3.4%を実現した。積層された各セルのドナー/アクセプターの組み合わせとしては、ホウ素サブフタロシアニン塩化物(SubPc)/フラーレンC60、SubPc/六塩化SubPc誘導体(Cl6-SubPc)などとした。ドナー/アクセプターの化学構造を図1に示す。

これらのドナー/アクセプターにより、少ない積層数で高い開放電圧を得ることができ、さらに光の吸収率を層ごとに重ね合わせることでデバイス性能の特定スペクトルへの依存性を減らす効果があるという。

図2 多接合セルの光吸収率プロファイル (Paul Sullivan et al., Advanced Energy Materials (2012) doi:10.1002/aenm.201200560)

 
図2は、3層、4層、5層と積層した多接合セルの光吸収率のプロファイルをグラフ化したもの。アルミ電極からの位置によって300~700nmの範囲に吸収波長が広く分布しているのが分る。

図3 光の強度を変えたときのJ-V曲線の変化 (2012) doi:10.1002/aenm.201200560)

図3(a)は、単層から6層積層までの有機太陽電池セルのJ-V曲線。6層積層のとき開放電圧(電流密度=0のときのバイアス電圧の値)がVoc=7Vに達している。

図3(b)は、AM1.5Gソーラシミュレータを使って光の強度を変えたときのJ-V曲線の変化を表している。光強度が最も弱い10mW/cm2の場合と最も強い100mW/cm2の場合を比べても、開放電圧の差は0.5V程度しかなく、光の強さに対するデバイス性能の依存性が小さいことが分る。530nmの単色LED光でも、ほぼ同様の結果が得られる(緑色の曲線)。

図3(c)は、4層および5層積層セルにおける変換効率と電圧の関係をグラフ化したもの。緑色の領域は、薄膜型マイクロ電池の充電電圧の範囲を示している。電池の充電に適した電圧で3%程度の変換効率が得られることが分る。

この有機太陽電池を使えば、電子書籍リーダに適したクレジットカード大の軽量ソーラー充電器が可能になると Jones 氏は話す。ソファに座って電子書籍を読みながら常に満充電の状態を保てるという。この技術を拡張して商用規模での低価格な有機太陽電池充電器を作製することが、次の研究課題であるとする。


発表資料

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