ブラウン大、コバルトとグラフェン使った酸素還元触媒を開発。燃料電池用白金触媒の代替に期待

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米ブラウン大学の研究チームが、コバルトとグラフェンを用いた新しい酸素還元触媒を開発したとのこと。非白金系触媒としては最も触媒活性が高く、白金系より低コストで安定性に優れているという。低コストで性能の高い水素燃料電池用触媒として期待される。2012年10月16日付の Angewandte Chemie International Edition に論文が掲載されている。

グラフェン上に堆積したコバルト・ナノ粒子 (Credit: Sun Lab/Brown University)

研究を行ったのは、同大の化学者 Shouheng Sun 氏らのチーム。コバルト/酸化コバルトのコア/シェル構造を持つナノ粒子をグラフェン表面に堆積させる手法により、新規の触媒材料の開発に成功した。

燃料電池用の白金触媒は高い触媒性能を持っているが、高価格で供給量も限られる貴金属であることが難点となっている。白金触媒の代替材料を見つけることは、燃料電池自動車など、燃料電池デバイスを実用化する上での鍵になるとされる。

今回開発されたグラフェン-コバルト触媒は、白金触媒に比べて、酸素還元反応が始まるまでにやや時間がかかる。しかし、一度反応が始まると、白金よりも高い反応速度を示すという。また、白金と比べて耐久性に優れ、経時劣化の進み方が遅いという特徴がある。17時間試験後に評価したところ、グラフェン-コバルト触媒の触媒性能は、初期性能の70%程度に維持されていた。白金触媒のほうは、初期性能の60%未満という結果になったという。

グラフェンを用いたナノ粒子材料は、グラフェン上に直接ナノ粒子を成長させて作製することが多い。しかし、この方法は、触媒を作るうえでは問題があると Sun 氏は指摘する。ナノ粒子のサイズ、形状、組成の制御が難しいためである。

研究チームは今回、材料特性の制御を行いやすくするため、自己組織化の手法を用いた。まず最初に、コバルト・ナノ粒子とグラフェンを、それぞれ別々の溶液中に分散させた。その後、2つの溶液を1つにし、よく混ざるように音波処理を施した。この処理によって、グラフェンの表面にナノ粒子がバラつきなく単層で付着するようになり、反応に関与するコバルト粒子、グラフェン粒子ともにポテンシャルが最大化するとした。触媒材料は遠心分離機を使って溶液から分離し、乾燥させた。空気に触れることでコバルト・ナノ粒子の外側の層が酸化し、酸化コバルトの殻が形成される。この殻には、中心部のコバルトを保護する働きがある。

酸化コバルト殻の厚さは、加熱時間を変えて材料を70℃で加熱することによって制御できる。加熱時間を延ばすと殻の厚みは増す。この方法を用いて、触媒性能が最高になるように構造の精密調整を行うことができるという。酸素飽和した水酸化カリウム溶液中での触媒活性は、酸化コバルト殻の厚さに依存する。研究では、酸化コバルトの殻を1nm厚としたときに触媒特性が最適化されたとしている。「現時点で、この材料のアルカリ媒質中での性能は白金に匹敵する。しかし、まだ実用化できる段階ではなく、さらなるテストが必要だ」と Sun 氏は言う。開発を続けることで、将来的には、同材料を白金触媒の代替材料にできるだろうと研究チームは考えている。


発表資料

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