ロスアラモス研究所、宇宙線を使って福島原発の核燃料の位置特定する技術を開発

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米ロスアラモス国立研究所が、福島第一原発での事故によって破損・溶融し、どこにあるのか分らなくなっている核燃料の位置を画像化して特定する技術を開発したとのこと。宇宙から地表に降り注いでいる宇宙線の主成分であるミュー粒子を利用した宇宙線ラジオグラフィで原子炉内の撮像を行うという。

テストのために福島第一原発を訪れたロスアラモス研究所のメンバー(Credit:Los Alamos National Laboratory)

2012年10月11日付の Physical Review Letters に論文が掲載されている。

宇宙線が地球の大気上層部に衝突すると2次粒子としてミュー粒子が発生し、地表に降り注ぐ。体を透過したX線でレントゲン撮影をするように、ミュー粒子が原子炉を透過する現象を利用して炉内の撮像を行う。物質内でのミュー粒子の移動経路は電子および原子核とのクーロン相互作用に支配されている。電子との相互作用はミュー粒子のエネルギーを連続的に損失させ、停止に導く働きをする。原子核との相互作用には、ミュー粒子の角度を拡散させる働きがある。これらクーロン相互作用の影響を受けたミュー粒子の変化を検出器で捉えることによって、原子炉内の情報を得ることができる。

ミュー粒子を利用した撮像技術には、従来型の透過法と、ロスアラモス研究所で開発された散乱法という2つの手法がある。研究チームは、透過法と散乱法ではどちらがより効果的に福島第一原発の調査ができるか、シミュレーションによる事前検証を行った。事故後の原子炉付近での作業は非常に高い放射線を浴びることになるため、2つの方法を併用すると多大な人的投資が発生するからであるという。

図1 燃料に1m大の空孔ができ、落下した燃料が圧力容器の底にたまっているモデル(Konstantin Borozdin et al., Phys. Rev. Lett.(2012) doi:10.1103/PhysRevLett.109.152501)

 
今回発表された論文では、主にこのシミュレーションの技術的詳細が述べられている。結論から言うと、透過法よりも散乱法のほうが炉心についての詳細な情報が得られるというのが研究チームの見解である。特に、ウランなど干渉作用の強い物質があると、散乱法は高い効果を発揮するという。原子番号の大きい元素ほどミュー粒子の散乱角度が大きくなるため、炉心内の核燃料は周囲の構造物よりもはっきりと見えるようになる。

福島第一原発に似せた設定で、原子炉のモデルを設定してシミュレーションを行った。炉心の状態は、燃料に損傷なし(intact)、燃料に1m大の空孔ができ、落下した燃料が圧力容器の底にたまっている(void)、炉心に燃料が残っていない(empty)、という3つのパターンを設定した。図1は void パターンの炉内の状態を表している。緑色の棒状の部分が検出器で、原子炉を挟んで高さを違えて設置される。

図2 散乱法(scattering)と透過法(transmission)による宇宙線ラジオグラフィ撮像のシミュレーション。散乱法では、時間の経過とともに炉心内部の詳しいイメージングができる(Konstantin Borozdin et al., Phys. Rev. Lett.(2012) doi:10.1103/PhysRevLett.109.152501)

 
上記3パターンについて、露光時間を変えて撮影を行ったときに得られる画像をシミュレーションしたのが図2である。散乱法(scattering)による撮像では、10時間露光時点で炉心が検出できるようになる。4日後には無傷の場合の炉心との比較で1m大の空孔が検出でき、6週間後には明瞭な空孔と落下した燃料が観察できるようになることが示された。一方、透過法(transmission)による撮像では、6週間後も空孔は検出できなかった。検出器の大きさは、いずれも50m2と大型の設定とした。検出器は大きいほうが、早く、明瞭な画像が得られる。検出器のサイズを1m2にした場合、露光時間は50倍かかる。

実際に福島第一原発での撮影を行う際の主な技術的問題は、高レベル放射線からの検出器の遮蔽であるとする。セシウム134、137から放射されるガンマ線によって検出器のシングル計数率と偶発同時計数が増大するためである。研究チームは、すでにテストのために福島の現場を訪れており、今回の設定では50cmのコンクリートを使って検出器の遮蔽ができることを小型検出器による測定で確認しているという。


発表資料

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「ロスアラモス研究所、宇宙線を使って福島原発の核燃料の位置特定する技術を開発」への1件のフィードバック

  1. 去年の10月から始めていたら、もうとっくに結論が出る頃なのに、
    何故これを導入しないんだ?溶融燃料がそこにないことがバレるから?
    東電の利益のために収束作業に影響を出すつもりか?

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