コロラド大、グラフェンを用いたガス分離膜を作製。天然ガスの高効率生産などに応用期待

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

コロラド大学ボルダー校の研究チームが、グラフェンを利用したガス分離膜を作製したとのこと。ガスを分子サイズによってふるい分けできるため、天然ガスの高効率生産や火力発電所から排出される二酸化炭素の削減などに応用できる可能性がある。2012年10月7日付の Nature Nanotechnology に論文が掲載されている。

グラフェン膜によるガスのリーク速度測定(Steven P. Koenig et al., Nature Nanotechnology (2012) doi:10.1038/nnano.2012.162)

紫外線誘導による酸化エッチングの手法を用いてグラフェンシートにナノスケールの孔を開け、様々な種類のガスについて、グラフェンに対する透過性を測定した。水素、二酸化炭素、アルゴン、窒素、メタン、六フッ化硫黄など、分子サイズ0.29~0.49nmの範囲にあるガスを用いた実験によって、分子サイズに基づくガス分離の可能性を検証した。

孔を通したガスの移動の測定には、加圧ブリスタ試験および機械的共振を利用した。リーク速度の測定結果と分離係数、ラマンスペクトルは、オングストロームサイズの少数の孔を通してガスが浸出するモデルとよく一致したという。

「グラフェンは世界で最も薄く強いだけでなく、標準的なガスすべてに対して不浸透という特性もある」と同大 機械工学教授 Scott Bunch 氏は話す。こうした特性から、グラフェンはガス分離膜の理想的な材料であるといえる。膜を通過させるために大きなエネルギーでガスに圧をかける必要がないからである。

グラフェンを用いたガス分離膜を産業用途で実用化するためには、これからクリアすべき課題も多い。例えば、大面積でのグラフェンシートの作製技術や、グラフェンに開ける孔のサイズの精密制御技術の開発などが必要となる。

図は、孔を開けたグラフェン膜でのガスのリーク速度測定の概要。(a) 酸化シリコン基板上にある顕微鏡サイズのグラフェン膜。剥離法によって無損傷のグラフェンを作製し、圧力チャンバ内を200kPaの水素ガス(赤い丸)で満たす。グラフェン膜の内側圧力Pintと外側圧力Pextは、酸化シリコンを通したガス拡散で平衡状態に達する。(b) グラフェン膜を圧力チャンバから取り出すと、膜は上向きに膨らむ。等温膨張すると仮定して、理想気体の法則を用いてPintを計算する。水素分子は酸化シリコン基板を透過して、マイクロチャンバ内からゆっくりと漏れていく。(c) エッチングを用いて水素分子よりも大きな孔を開けたグラフェン膜では、膜の孔を通って水素ガスが急速に漏れていく。空気を構成する分子(緑色の丸で示した窒素と酸素)よりも孔が小さければ、マイクロチャンバ内への空気の流入はブロックされ、すべての水素分子が漏出するまでグラフェン膜の歪みが続く。(d) 水素分子が完全に外部に漏れた後のマイクロチャンバ。グラフェン膜は下向きにへこむ。(e) エッチング後0~8分経過したときのグラフェン膜の歪み具合をグラフ化。(f) 空気からの水素ガス分離膜について、原子間力顕微鏡(AFM)による測定で求めた歪みの最大値δと経過時間tの関係をグラフ化。黒い点はエッチング前の水素分子のリーク速度。赤い点はエッチングによってグラフェンに透過選択性のある孔を開けた後の水素分子のリーク速度。グラフ内の囲み写真は、実験で用いた二層グラフェンの薄片。(g) t=0のときのAFMの測定データを三次元表示したもの。


発表資料

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...