ロームが、CIGS化合物半導体を用いたイメージセンサを開発した。10月2日から幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2012」同社ブースでデモ展示を行っている。銅・インジウム・ガリウム・セレンの化合物であるCIGSは広い波長領域で太陽光を吸収できる太陽電池用材料として利用されているが、これをイメージセンサに用いると、可視光から赤外光までの広帯域(400~1200nm)を受光することができる。特に、高感度の赤外線撮像が可能になる。
CIGS薄膜によるフォトディテクタを積層し、デバイス最表面に構成することで高い開口率を実現した。グローバルシャッタ機能によって、移動する被写体も歪みなく撮影することができる。
デモ展示では、CIGSイメージセンサと通常のCCDセンサを使った2台のカメラで、ターンテーブル上を回る被写体の撮影を行った。カメラには1000nmより短い波長をカットするフィルタが取り付けられているため、CCDカメラではほとんど何も写らない暗い映像となるが、CIGSイメージセンサを搭載したカメラでは、被写体の発する赤外光を受光して鮮明な映像が表示された。京都の風景画を撮影すると、絵の下地に隠れているロームのロゴが浮かび上がった。醤油の中に時計を沈めた被写体では、肉眼では真っ黒な醤油が透明に写り、時計の針や文字盤を読み取ることができた。
CIGSイメージセンサの応用分野としては、FA用カメラ、医療用近赤外カメラ、可視光と近赤外光の同時撮影が可能な画像入力カメラなどが考えられるという。太陽電池の欠陥検査用カメラに応用した場合、太陽電池に電流を流したときにセルが発光するエレクトロルミネッセンス(EL)現象で出てくる赤外光を撮影することにより、発電が行われていない不良セルの位置を映像で直接確認できるようになる。(取材・撮影/荒井聡)
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