スタンフォード大、いろいろな素材の表面に電子回路を転写する新技術。布・プラスチック・アルミ箔・ゴム手袋など、素材を水に浸して数秒で転写

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

スタンフォード大の研究チームが、ナノワイヤでできた電子回路を布・プラスチック・アルミ箔・ゴムなどいろいろな素材の表面に転写する技術を開発したとのこと。素材を水に浸してフィルム状の回路に接触させることにより、数秒で転写。フィルムは表面の形状にフィットするように作られているので、クシャクシャに潰したペットボトルの表面にも回路を作ることができます。研究チームでは、同技術を使ってウェアラブル・デバイス、フレキシブル・ディスプレイ、高効率太陽電池、超高感度バイオセンサなど様々な応用が可能としています。

この手法のカギは、電子回路を作製する前に、シリコンウェハーの表面にニッケルの薄膜層を形成しておくことだそうです。ニッケルもシリコンも親水性なので、表面にナノワイヤのデバイスを形成した後で水にさらすと、水が容易に二つの材料の間に浸透していき、ニッケルとその上を覆う電子回路をシリコンウェハーから剥離するように作用します。剥離プロセスは室温環境で行うことができ、処理時間も数秒しかかかかりません。転写時にデバイスがダメージを受けることはなく、転写プロセスの成功率はほぼ100%であるといいます。

また、剥離後のシリコンウェハーは再利用することができるので、製造コストの低減にもつながるとしています。

シリコン上には、ニッケル薄膜の形成後、ポリマーの極薄層も形成します。ポリマー層には絶縁体の役割があり、回路に機械強度を与えるも働きもあります。

また、ポリマー極薄層は極めてフレキシブルであり、このことがいろいろな種類の素材、表面形状へのナノワイヤ回路の貼り付けを可能にしています。ポリマー層は膜厚は800nmで、サランラップの1/15という薄さです。

さらに、フレキシブル基板を折り曲げても電子回路として動作できるのは、回路の材料であるナノワイヤが数千分の1mmと非常に短いためであるといいます。回路が転写された素材の曲率に比べて十分に短いため、ナノワイヤにはほとんどストレスがかかりません。潰したペットボトルのように鋭く折れ曲がった表面でも、ナノワイヤの短さであれば平面と変わらないといいます。

表面に貼りつけた回路は、もう一度剥がしてから別の表面に貼ることも可能です。繰り返し貼りつけても回路が劣化することはありません。

研究チームでは、この技術の主な応用分野の一つとして、生物学的な調査研究があると考えています。ナノワイヤを用いたデバイスは心臓や脳などの組織に直接貼り付けることで電気的な生体信号を測定することも可能になるかもしれません。

「研究者は、心臓不整脈や、ニューロン発火の様子などを測定することもできるようになるでしょう」と研究チームの機械工学者 Xiaolin Zheng氏は話しています。「こうした信号は電気的なものですが、それを測定するためには信号を基板に伝えるための非常に生体適合性が高い極薄のコーティングが必要です」

研究チームは、転写プロセスを高効率のフレキシブル太陽電池の開発や、ロボティクスへ応用することも可能であるとしています。

原文 http://bit.ly/o1jBFM
訳 SJN

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...