ライス大ら、シリコン廃材をリチウムイオン電池負極に再利用する技術開発

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米国ライス大学とベルギーのルーヴァン・カトリック大学の研究チームが、シリコン廃材からリチウムイオン電池用のフレキシブル部材を作製する方法を開発したとのこと。2012年9月4日付けの米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版に論文が掲載されている。

シリコン/銅/ポリマーの複合体はシリコン基板から巻き取ることができる。マスクはそのまま次の負極作製プロセスで使える (Credit: Alexandru Vlad/Rice University)

同技術では、精密に配列したシリコンナノワイヤを導電性のある銅とイオン伝導性のあるポリマー電解質で覆うことで、リチウムイオン電池用負極材を形成する。材料中に隙間を与えることによって、リチウムイオンの吸蔵・放出にともなうナノワイヤの膨張・収縮に対応し、耐久寿命を延ばすことができるという。また、電解質には、正極・負極間のスペーサとしての効果もある。

リチウムイオン電池にシリコン負極を用いると、通常の炭素負極と比べてリチウムイオンの吸蔵量が10倍程度向上する。ただし、充放電時の膨張・収縮が激しいため、すぐに劣化してしまうことが課題とされていた。

研究チームは今回、負極/電解質の多層複合体をシリコンウェハーの廃材から引き剥がすことにも成功。この方法によって、包帯のように見えるサンプルが作製されている。

薬液槽でのシリコン溶解とともに、金マスクが底部に沈着。シリコンナノワイヤがマスクの孔から突き出して伸びる (Credit: Alexandru Vlad/Rice University)

 

金マスクから突き出たシリコンナノワイヤの拡大画像。ナノワイヤの直径は100nm程度 (Credit: Alexandru Vlad/Rice University)

 
シリコン廃材による負極材の作製には、コロイドナノ球体リソグラフィと呼ばれる技術を使用した。コロイドナノ球体リソグラフィでは、ポリスチレン粒子の分散液をシリコンウェハー上に塗布し、シリコン腐食用のマスク形成を行う。ウェハー上のポリスチレン粒子は、自己組織化的に六角形の格子状に配列し、化学的に収縮しても動かずにその場に残る。ここで金の薄膜をスプレー塗布し、ポリスチレンを除去すると、ウェハーの表面上に均一に孔の空いた金のマスクが形成される。

マスクは、金属を使用した化学エッチングに利用する。金属に接触している部分のシリコンは、エッチングによって溶解する。シリコンウェハーを薬液槽に浸した状態で一定時間経過すると、金属触媒がシリコンに沈着し、50~70μm長のナノワイヤが均一に空いた穴から伸びた状態となる。

研究チームは、リチウム吸蔵能力を高めるために、ナノワイヤ上に銅薄膜を成膜。さらに、ナノワイヤ配列に電解質を注入することによって、ナノワイヤにイオンを移動させるだけでなく、負極と正極の間のセパレータの役割も持たせた。

この負極と負極側集電体、正極と正極側集電体を結合して電池を組み立てたところ、容量150mAh/gが得られ、50回の充放電サイクル後もほとんど劣化が見られなかったという。研究チームは現在も、新規負極の性能向上に取り組み、標準的な電池形状での試験を続けている。


発表資料

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