アペックス、三次元デバイス向けに赤外線干渉方式の光学測定装置を販売開始

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半導体製造装置などの開発・製造・販売を手がけるアペックスが、仏FOGALE nanotech製の検査測定装置「T-Map」の国内販売を開始している。同装置は、赤外線干渉または白色光の色収差を利用してデバイスの表面形状や膜厚、深さなどの測定を非破壊で行うもの。シリコン貫通電極(TSV)形成プロセスや三次元積層プロセスなどで必要とされるデバイス測定に適しており、ベルギーIMECでは、三次元デバイス検査の標準装置として採用されている。本稿では、T-Mapの開発に深く関わってきたフランス国立科学技術センター/東京大学project教授 Alain Bosseboeuf氏の講演(2012年7月13日@第23回マイクロマシン/MEMS展)を基に、同装置の技術概要と応用事例についてまとめる。

T-Map (アペックス/FOGALE nanotech)

赤外線干渉計の測定原理

赤外線干渉計は、光源に低コヒーレンスのスーパールミネッセンスダイオード(SLD)を用いて、試料表面に照射した赤外線の反射光と、参照面に照射した赤外線の反射光との干渉を利用して試料の表面状態や深さ測定を行う手法である。

赤外線干渉計の測定原理 (出所:アペックス)

 
SLDから出た赤外線はファイバーを通ってカプラに送られ、ここで試料面に照射する光と参照面に照射する光に分岐される。それぞれの光はコリメーターによって平行光に揃えた状態で試料面/参照面に照射される。試料面/参照面から返ってくる反射光はそれぞれファイバーでカプラに送られ、ここで合流し、光ダイオードで検出される。

光の干渉は、試料からの反射光の光路長と参照面からの反射光の光路長の差が、コヒーレンス長よりも小さいときだけ生じる。参照面のミラーをz方向に走査すると参照面側の光路長が変化するので、試料面の光路長との差が十分小さくなったときに現れる干渉を観測することによって試料面の表面の情報を得ることができる。SLD光源のコヒーレンス長を小さくすることによって、高精度な表面測定が可能になる。

試料に照射した光が、TSVのような段差のある面に到達すると、高さ情報の異なる2つの反射光R1、R2となって返ってくる。R1、R2の干渉をそれぞれ検出し、低コヒーレンス干渉信号(LCI: low coherence intereference)を取得する。空間フィルタによってR1とR2の位相差に関する情報だけを取り出すことによって、試料の段差部の深さ(絶対深度)が測定できる。

T-Mapでは、白色光の色収差と共焦点光学系によって三次元表面の形状計測を行うオプション機能を付加することもできる。この方法は、試料をz方向に走査する必要がなく、xy方向での走査だけで3次元形状を計測できるという特徴がある。このため計測時間の高速化が可能となっている。

3次元積層デバイスへの応用

TSVのプロセスフローと対応する測定技術 (出所:アペックス)

 
T-Mapによって、MEMSや3次元積層ICなど、深さ方向に構造を持つデバイスの形状計測や膜厚測定などを高精度に行うことができる。3次元積層ICの製造プロセスとしては、従来の平面型の半導体デバイスのプロセスに加えて、TSVの形成、ウェハー薄化、ウェハー接合などのプロセスが新たに必要になる。これらの追加プロセスすべてに対して、T-Mapによる高精度測定が適用できる。

TSVプロセスでは、エッチングで形成したビアの深さ測定、多数のビア深さのバラつき測定などに使用することができる。ビア径15μm、10μm、7μmのときの複数点でのビア深さを測定した事例を下図に示す。標準偏差3σの値が0.2~0.3程度と深さの揃ったビア形成が行われていることが分る。

ビア径15μm、10μm、7μmのときの複数点でのビア深さの測定事例 (出所:アペックス)

 
T-Mapの赤外線干渉計を用いてシリコン内部に存在する金属とシリコン表面の段差を測定できる。ウェハー薄化プロセスでは、ウェハーの裏面研磨によってTSVのビア底部を露出させた極薄ウェハーを形成するため、T-Mapでウェハー裏面からビア底部までの厚さを測定することにより、研磨量を設定して裏面研磨工程の制御ができる。

ウェハー接合プロセスでは、支持基板と極薄ウェハーとの仮貼り合わせ/剥離、極薄ウェハー同士のウェハーレベルパッケージなどが行われる。これらの工程では接着材による接合が用いられるため、接着材の状態を含めた積層ウェハーのプロファイルを精密に行うことがプロセス制御上の課題となる。T-Mapを用いることで、ウェハーの反り・変形量(BOW/Warp)の測定と同時に接着材の分布および密着状態(ボイド、クラック、剥がれなど)の観察が行える。(取材・執筆 / 荒井聡)


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