ハーバード大、ナノアンテナによる極薄平面レンズを開発。収差補正なしで完全な像

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ハーバード大学工学応用科学部(SEAS)の研究チームが、ナノアンテナを用いた薄膜型の平面レンズを開発したとのこと。通常の厚みのあるガラスレンズと異なり、まったくの平面形状だが、回折限界近くまで光を集束させることができる。さらに、通常のレンズにつきものの歪みが生じないため、補正処理なしで完全な像が得られるという。2012年8月15日付の Nano Letters に論文が掲載されている。

極薄平面レンズのイメージ (Artist's rendition courtesy of Francesco Aieta)

この平面レンズは厚さが60nmしかなく、極薄のシリコンウェハーに膜厚1nmの金めっきを施すことによって形成されている。金めっき層は一度成膜されてから表面全体にムラなく広がるV字形の構造を残して取り去られる。このV字形の配列がナノアンテナの役割を果たすという。

平面レンズに光を当てると、ナノアンテナが光を捕捉する。捕捉されてから再びレンズの外へ出て行くまで、光はわずかな時間レンズの表面にとどまる。この遅延をレンズ表面全体で精密に調整することによって、通常の厚みのあるレンズと同じように光の進む方向を変える効果が生まれるという。

平面レンズには光学収差がないため、例えば通常の広角レンズのような魚眼効果は生じない。また、非点収差やコマ収差も生じない。このため、複雑な補正技術をまったく使わなくても、完全に正確な像または信号を得ることができる。ナノアンテナの配列は「メタ表面」と呼ばれており、アンテナの大きさ・角度・間隔は、特定波長の光に合わせて調整可能となっている。

左は、1mm口径の平面シリコンレンズの顕微鏡写真。V字形に見えるのがナノアンテナの配列。右は、位相遅延の度合を色分けして表した図 (Image courtesy of Francesco Aieta)

光ファイバー通信などで使われる通信用波長で使用する場合、平面レンズは近赤外からテラヘルツ波長まで自由に拡張可能。製造方法も簡単であるという。「将来的には、大部分の光学システムで使われているバルクコンポーネントはすべて平面レンズで置き換えられる可能性がある」と論文の筆頭執筆者 Francesco Aieta氏は話している。


発表資料

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