基板材料の違いによってグラフェンの電気化学特性が変化 ・・・ MITらが報告

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マサチューセッツ工科大学(MIT)、物質・材料研究機構(NIMS)と韓国・光州科学技術院(GIST)の国際研究チームが、グラフェンの電気化学特性に対する基板材料の影響について報告している。酸化ケイ素(SiO2)またはサファイア(Al2O3)基板上のグラフェンはジアゾニウム塩の添加によって官能基化されるが、窒化ボロン基板上のグラフェンはジアゾニウム塩を添加してもほとんど官能基化しないという。2012年8月12日付の Nature Chemistry に論文が掲載されている。

異なる材料でパターン形成した官能基化グラフェンのラマンスペクトル (Michael Strano et al., Nature Chemistry (2012) doi:10.1038/nchem.1421)

研究チームによれば、こうした現象が起こる理由は、グラフェンが極めて薄いため、基板材料の原子によって生じる電界に強い影響を受けるからであるという。この性質を利用することで、酸化ケイ素と窒化ボロンで構成されたマイクロパターンを有するデバイスを形成し、グラフェンの化学的挙動を部分的に変化させることもできる。こうしたデバイスは、微量の生化学物質を検知するセンサのマイクロアレイなどにも応用できると考えられる。

研究リーダーである MIT 化学工学教授 Michael Strano 氏は、グラフェンを様々な物質の保護膜として利用することも可能になるだろうと指摘している。例えば、グラフェンを銅と結合させることで、金属の酸化傾向を完全に取り除き、腐食を防止することができるという。研究チームは、基板材料の違いによるグラフェンの特性への影響を説明するため、電子移動に関する新理論を構築。この理論によって、基板材料を変えたときのグラフェンの挙動を予想することも可能になっている。

図aは、PDMSスタンプを用いた反応性インプリントリソグラフィによってSiO2基板上にオクタデシルトリクロロシラン(OTS)のパターンを形成した後、基板転写したグラフェンに4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラートを添加して官能基化する手順を図示したもの。図 b は、グラフェンをコーティングする前のOTSパターンのAFM像である。図cは、ジアゾニウムによる官能基化後のラマンスペクトルのID/IG比の空間分布を示しており、細い帯状のOTSパターン部分では官能基化が弱く、OTSパターン間に広がるSiO2部分では官能基化が強くなっていることが分る。図dは、図cのID/IG比の空間プロファイルのグラフ。図eは、同様にしてSiO2基板上に窒化ボロンの断片を置いた場合の空間プロファイルをグラフ化したもので、窒化ボロン部分で官能基化が弱くなっていることが分る。


発表資料

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