大型有機ELテレビの製造コストは液晶の10倍 ・・・ ディスプレイサーチが報告

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

調査会社ディスプレイサーチが、アクティブマトリクス型有機EL(AMOLED)ディスプレイの製造コストについてレポートしている。55型有機ELテレビの場合、方式によっては同サイズの液晶テレビに比べて10倍の製造コストがかかっているという。

55型テレビ用パネル技術の製造コスト比較 (Source: NPD DisplaySearch AMOLED Process Roadmap Report)

2016年のAMOLED市場規模は、2012年比10倍近い2200万m2超に達するとディスプレイサーチでは予測している。現在AMOLED生産の大半はスマートフォン向けの中/小型で占められているが、今後はテレビ生産用の工場が生産力拡大を牽引していくと予想される。ただし、大型テレビ向けのAMOLED技術が確立されていないため、どの程度のスピードで生産拡大が進むかについては未知数な部分が多い。

ディスプレイサーチによると、酸化物半導体TFTを用いる55型AMOLEDテレビのうち、白色有機ELとカラーフィルタを組み合わせる方式では、同サイズのTFT液晶テレビの8倍の製造コストがかかっているという。赤緑青3原色の有機ELを使う方式では、製造コストは同10倍になる。高コストの主な要因は、歩留まりの低さと材料コストの高さにあるとする。

同社FPD製造分野の上級アナリスト Jae-Hak Choi 氏は、「液晶パネルの低コスト化は緩慢になってきている。一方、大型AMOLEDパネルのコスト削減はまだ始まったばかりだ。長期的にみれば、プロセス革新、印刷技術、高性能材料などによって、AMOLEDのコストは液晶と同等かそれ以下まで下がるだろう」とコメントしている。

4型AMOLEDの製造コストに関しては、主要プロセスの成熟によって、同サイズの液晶の1.3倍以下となっている。サムスンディスプレーは、液晶と同水準の歩留まりを達成したことで中/小型AMOLED生産で大きな成功を収めている。同様に、大型AMOLEDテレビについても、将来的には液晶テレビと競合するレベルまでコストが下がる可能性はある。

パネル大型化のためには、AMOLEDの製造技術に関するいくつかの技術進歩が必要とされている。アクティブマトリクス・バックプレーンの形成、有機材料の成膜、封止技術などについてである。酸化物TFTは少ない投資額で済み、従来のアモルファスシリコンTFTとも似ているため、現在AMOLED用に使われている低温ポリシリコン(LTPS)TFTの有力な代替技術となる。しかし、酸化物TFTの量産には、しきい値電圧の変動をはじめ、多くの課題がある。

インジウム・ガリウム・亜鉛で構成される酸化物半導体IGZOなどの酸化物TFTはバックプレーン材料として有望であるが、エキシマレーザービーム幅を1300mmまで拡大することによってLTPS生産のスケールアップも進んでいる。さらに、高精細メタルマスクを用いた蒸着によるRGB発光材料の成膜技術にも進展がみられる。画素密度は現在250ppiが可能となっており、280ppi以上も射程に入ってきた。

こうした技術進歩があるとはいえ、中/小型AMOLEDを液晶と比較したときの弱点は、いまも高解像度というところにあると Choi 氏は指摘する。AMOLEDが超高解像度FPDの中で競争力を持つためには、レーザー誘導熱転写法(LITI: laser induced thermal imaging)のような高解像度のパターン形成や材料技術の向上が引き続き必要であるという。


発表資料

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...