コロイド量子ドット太陽電池で変換効率7.0%記録、トロント大ら

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カナダ・トロント大学とサウジアラビア・アブドラ王立科学技術大学(KAUST)の国際共同研究チームが、コロイド量子ドット(CQD: Colloidal Quantum Dot)を用いた太陽電池で世界最高となる変換効率7.0%を記録したとのこと。これまでに報告されていたCQD太陽電池の最高変換効率を37%上回る値となる。2012年7月29日付の Nature Nanotechnology に論文が掲載されている。

CQD太陽電池のデバイス構造とJ-V曲線 (Sargent et al., Nature Nanotechnology (2012) doi:10.1038/nnano.2012.127)

CQD薄膜には、大面積での溶液プロセスが適用できること、量子ドットの粒径によってバンドギャップ調整が可能といった特徴がある。しかし、体積あたりの比表面積が大きいため、表面安定化処理(パシべーション)が不完全な場合にはトラップ状態密度が高くなることでキャリアの再結合が促進され、電流をセル外部に取り出すことが難しくなり、デバイス性能を阻害することが問題とされている。

研究チームは今回、ハロゲン化物を用いた有機/無機ハイブリッド型のパシべーションを導入。これにより良好なパシべーションが可能になったことで、変換効率の向上につながったとする。

図aは、今回のCQD太陽電池の模式図とデバイス見本である。CQD薄膜には硫化鉛(PbS)の半導体量子ドットが用いられている。図bは、デバイスの断面SEM像でスケールバーは500nm。図cは、AM1.5の太陽光スペクトルを使って測定したCQD太陽電池のJ-V曲線(x軸が電圧、y軸が電流密度)。赤い線が有機系パシべーション、緑色の線が無機系パシべーション、青い線がハイブリッド系パシべーションを施したときのJ-V特性を表している。黒い線は、ハイブリッド系パシべーション型デバイスを認証校正機関で測定したときのJ-V曲線。囲み内のグラフは、同デバイスの外部量子効率(EQE)。図dは、バンドギャップ中央におけるトラップ密度を変化させたときのデバイスのJ-V曲線をシミュレーションしたグラフ。トラップ密度 Nt が大きくなるとデバイス性能が落ちることが示されている。CQD薄膜は、塗料やインクのように短時間・低コストで成膜できるのが特徴。フレキシブル基板上とロール・ツー・ロール印刷を用いたデバイス大量生産技術の確立が期待されている。


発表資料

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