グリーンセンサ・ネットワークの開発動向。センサ集積化技術や有機ナノファイバーによる高効率自立電源など

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2011~2014年度のNEDO共同研究事業「グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」が発足から1年を迎えた。技術研究組合NMEMS技術研究機構によるこれまでの成果が「第23回マイクロマシン/MEMS展」にて公開されている。

「グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」展示ブース (第23回マイクロマシン/MEMS展)

同プロジェクトでは、センサネットワークに使用される無線通信機能、自立電源機能、超低消費電力機能を持たせたグリーンMEMSセンサデバイスを開発し、環境計測やエネルギー消費量の把握・制御システムなどの実証を行っていく。グリーンMEMSセンサの開発目標は、寸法2cm×5cm以下、消費電力100μW以下。電流・磁界(電力量)、塵埃量・ガス濃度(空調・換気)、赤外線(人数・動作・環境温度)の検知が可能なセンサを開発する。

センサを搭載した端末の開発も行う。各種電子機器、空調機器、製造装置、配電盤などに特別な追加工事を伴わずに設置できる端末をめざすという。端末スペックとしては、無線機能を備えた3mm角の本体内部チップ、動作環境温度5~35℃、平均出力150μW以上の電力供給が可能な発電・蓄電一体型デバイス、MEMSセンサ部・端末本体部チップ・発蓄電デバイスを含めた端末面積を2cm×5cm以下とすること、少なくとも300MHz帯と900MHz帯の2つの周波数帯で同時受信可能とし、同時接続端末1000個以上で受信感度-130dBm以下の受信機などが開発目標として掲げられている。最終的には、これらのデバイスを用いたネットワークシステムを構築し、店舗や製造現場、オフィスに適用していくという。

チップto12インチウェハー接合サンプル


 
センサ製造の要素技術開発の1つとして、センサ・LSIを大容量キャパシタ内蔵インターポーザに集積化する技術がある。マイクロマシン/MEMS展ブースでは、インターポーザにセンサを搭載することを想定して300mmウェハー表面にチップ接合を行った試作ウェハーが展示されていた。この技術は、ウェハー表面に形成されたパターンに合わせてチップを1つずつ貼り付けていくもの。主成分スズに銀銅を添加したはんだ材料(鉛フリー)ではんだバンプ接合する。ウェハー表面には100μm径の丸いパターンの金電極が200μm間隔で並んでいる。このピッチに合わせてチップ側のバンプを接合しながら電気的配線を形成する。1個ずつのチップの接合をどれだけ短時間にできるかも技術課題の1つ。トレイ上のチップをロボットで拾い上げ、上下運動する接合装置に受け渡すシステムを開発している。

発電デバイスについては、有機半導体ナノファイバーを用いた高効率自立電源の開発などが進められている。従来の有機薄膜太陽電池では熱を使ってp型半導体とn型半導体を相分離してバルクヘテロ接合を形成するが、熱処理によるプロセスでは相分離の制御が難しく再現性が良くないため、pn接合を安定的につくれないという問題がある。そこで、p型ナノファイバーをn型ポリマーに直接埋め込んで微細なpn接合を形成することによって、高効率の有機太陽電池を安定的に作れるのではないかと考えられている。

電界紡糸法によるナノファイバー作製技術。溶液がくねくね動きながら飛び出しているところ。


 
ナノファイバー構造を安定的に作る技術としては、フィルタの製造などで使われている電界紡糸法の利用が検討されている。電界紡糸法では、シリンジポンプから有機半導体の溶液を押し出す際に電圧をかけると、ポンプ先端に溜まる液の表面張力を超えた静電反発力が働いた瞬間に溶液がくねくね動きながら空中に飛び出す。このとき溶媒が蒸発し、有機半導体が糸状になるため、微細なナノファイバー構造を得られるという。ファイバーの太さは、溶液濃度、電圧、基板間の距離を調整することで変えられる。実際にナノファイバーを使った有機太陽電池デバイスの試作はこれから行うとのこと。

(取材・執筆・撮影/荒井聡)


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