日本電子、手軽で高画質なタッチパネル型卓上SEMを製品化。MEMSの開発用途にも適合

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日本電子が、タッチパネル式の卓上走査電子顕微鏡(SEM)「NeoScopeTM JCM-6000」を開発。2012年4月から販売を開始している。タッチパネルによる直感的操作を取り入れることで使いやすさを訴求する。同社 アジア営業戦略室 グループ長の梶原卓氏と電子光学機器営業本部 望月明大氏を取材した。

JCM6000 (日本電子)

JCM-6000の製品開発コンセプトとして、SEMの操作に慣れていない人でも直感的に扱えることが挙げられる。装置に試料をセットして扉を閉じると自動的に真空排気が開始され、電源を入れた3分後には使用可能になるという。従来のSEMは、試料をセットしてから画像を出すまでに、電子銃からビームを出すなど必要な操作をマニュアルで行っていた。JCM-6000では、最初の画像出しまでを完全自動化し、そこから先の操作のほとんどはタッチパネル上でできるようにした。撮影した画像の検索、ライブ画像と保存画像の比較のための2画面表示なども、すべてタッチパネル操作で行える。

電子銃はフィラメントとウェルネルが一体化されたカートリッジ型とした。このため、フィラメント交換もカートリッジごと脱着すればよく、クリーニングやフィラメントの中心合わせなどの作業が不要となった。フィラメント交換後の軸調整も自動化されている。

JCM6000 タッチパネル画面 (日本電子)

高真空/低真空モードは、ワンタッチ操作で切り替え可能とした。同社の卓上SEMの従来機JCM-5000と比べると、高真空モードでの鮮明な画像を簡単に観察できるという特徴はそのまま受け継ぎつつ、低真空モードが機能強化されていることもJCM-6000の特徴である。具体的には、従来機で低真空モードを使う場合、一度高真空モードにしてから真空レベルを下げるように設計されていた。このため、高真空の条件下では試料が変質してしまう生体材料などを低倍率の低真空モードで観察することが難しかった。JCM-6000では、この点を設計変更し、高真空モードを経なくても最初から低真空モードが使えるようにしたことで、生体系の試料観察が行いやすくなっている。梶原氏によると、JCM-5000の発売以降、低倍率観察を手軽に行いたいという顧客ニーズが多く寄せられたことから、低真空モードの強化を行ったという。

装置スペックは、高真空モードでは倍率10倍~6万倍で、試料によっては数万倍という高倍率での観察も可能である。加速電圧5kV/10kV/15kV(3段階)、反射電子像は倍率10倍~3万倍で加速電圧10kV/15kV(2段階)。試料ステージはX:35mm Y:35mmのXY手動式、最大試料サイズ70mm径×50mm高などとなっている。JCM-6000の応用分野の中では、MEMSなどの電子デバイスは比較的高倍率での観察対象であるが、メモリやロジックなどの半導体ICを大型SEMで見るときほどの高分解能は要求されないので、手軽に使える同製品をMEMS開発用途でも訴求していきたいとする。

手動でのステージ操作は、XYの平面方向以外に、ティルトとローテーションをオプションで付加することで、試料を傾けて斜め方向から観察することもできる。MEMSなど立体的な形状のデバイスを観察する場合、真上からの画像だけでは撮像できない部分もあるため、こうした機能が特に有効に利用できると思われる。その他のオプションとして、EDSによる元素分析機能を付けることもできる。

卓上SEMは、ここ数年で画質が著しく向上しており、これまで光学顕微鏡を使用してきた層が手軽に操作できる卓上SEMへと移行する傾向がある。一方、従来の大型SEMのユーザーの一部も、これだけ画質が良いのであれば卓上SEMも十分使えると考えるようになってきており、今後は必要とする倍率や機能によって大型SEMと卓上SEMの使い分けが進むとみられる。JCM-6000の価格は本体定価580万円程度。初年度販売目標を200台とし、研究開発用途、生産ラインでの検査用途、学校教育用途などでの普及を図る。

(取材・執筆/荒井聡)


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