EV Group 薄化ウェハーに対応した接合・アライメント技術を展開

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

EV Group (EVG) は、先端実装、半導体、SOI、パワーデバイス、MEMS、LED、ナノインプリントなどの分野で、リソグラフィ、ボンディング関連の装置開発・製造を行っている。本稿では、イーヴィグループジャパン・テクノロジー本部の川野連也氏への取材を基に、MEMSやシリコン貫通電極(TSV)のプロセスで使われる接合・アライメントの装置技術の概要をまとめる。

プラズマ表面活性化技術「LowTemp®」

シリコンとSOIウェハーなどを、接着剤を使わずに直接接合する場合、プラズマによる表面活性化処理を施すことがある。1000℃程度の高温熱処理ができる場合には、特に表面活性化を行わなくても問題なく接合できるが、プロセス全体をより低温で行う場合には表面活性化処理が必要になる。例えば、裏面照射型イメージセンサでは、ほとんどこの技術が使われている。EVグループでは、プラズマ活性化処理技術「LowTemp®」を開発しており、同技術を導入した装置としてプラズマ装置「EVG®810LT」などがある。

プラズマ活性化接合の例 (出所:EVG)

洗浄でウェハー表面のパーティクル除去を行ってから、表面をプラズマで活性化する。プラズマガスにはN2またはO2が使われる。接合自体は常温で行い、その後200~300℃でアニール処理をかけることにより、十分な接合界面の強度が得られる。この温度であれば、ウェハー上にデバイスが形成された状態での直接接合も問題なく行うことができるという。

ウェットケミカル処理による直接接合 (出所:EVG)

プラズマ活性処理による直接接合 (出所:EVG)

高温の熱処理による直接接合と、プラズマ活性化処理による直接接合におけるシリコンウェハーの表面状態を比較してみると、高温処理ではウェハー同士を接触させたときに表面に存在するHとOがファンデルワールス力で弱い結合を作っている。このとき高温での熱処理によってH2Oを飛ばすと、Si-O-Siの強い共有結合を得る。一方、プラズマ活性化処理を行うと、表面状態がよりシンプルなSi-O-Hの構造にそろうので、200℃程度の熱処理でもH2Oを十分飛ばすことができ、Si-O-Siの強い共有結合を得ることができる。接合強度の評価は、接合界面にブレードを差し入れたときに接合面が剥がれる距離を測定することによって算出できる。

仮貼り合わせ/剥離技術「ZoneBOND™」

TSVの形成などでは、厚さ50μmあるいはそれ以下に薄化したウェハーが使われる。ウェハー薄化が進むにつれて紙のようにペラペラになり、通常のウェハーハンドリングが難しくなるため、シリコンやガラスなど硬さのある支持基板に一時的に貼り合わせた状態でハンドリングする仮貼り合わせ技術が用いられるようになっている。プロセス終了後に支持基板から薄ウェハーを剥離する工程と合わせてTB/DB(Temporary Bonding/Debonding)などと呼ばれる。MEMSデバイスの場合は、ガラス基板などに貼り合わせた状態で最終形のデバイスとし、剥離工程を行わないこともある。

ZoneBONDTM Open Platform (出所:EVG)

TB/DBに使われる接着剤に要求される条件としては、プロセス中で使われる薬液や熱への耐性、裏面研削時にかかるストレスから貼り合わせ面に形成されたパターンを保護するための硬さ、剥離したときに表面に残渣が残らないことなどがある。同社では、こうした要件を満たす技術「ZoneBOND™」を開発している。

ZoneBOND™では、剥離するときに薬液で溶かすタイプの接着剤が使われており、剥離工程の後に必ずウェハー洗浄を行う。固まってフィルム状になった接着剤を剥がす方法では、表面に形成されたバンプなどの構造の周りに残渣が残りやすくなるためであるという。また、フィルムの状態で剥がす接着剤と比べると、薬液で除去するタイプのほうが硬い樹脂を使うことができるという利点もある。接着剤は、ウェハー中央部を低密着層とすることにより、剥離時に弱い力でも剥がしやすくしておく。ただし、ウェハー全面を低密着にすると研削後に外周部の不良につながるので、外周部は強く密着させる。剥離工程では、外周部の接着剤を薬液で溶かすことで、低密着層を弱い力で機械的に剥離できるという。

ZoneBOND™は、もともと米国Brewer Science社とEVグループが共同開発した技術だが、現在はオープンプラットフォーム化されている。2011年10月に両社がオープンプラットフォーム化について合意したことで、EVGはBrewer Science社以外の材料メーカーと共同でZoneBOND™技術を提供できるようになり、Brewer Science社もEVG以外の装置メーカーと協業できるようになった。デバイスメーカーの立場からは、装置・材料選択の自由度が広がるため、ZoneBOND™を導入しやすくなり、同技術の普及が進むとみられる。

アライメント装置「SmartView® NT」

ウェハー接合プロセスでは、貼り合わせるウェハー同士のパターンの位置合わせが非常に重要となる。MEMSデバイスでは、パターン形成された面が接合面となることも多いが、この場合パターンを外側から見ることができなくなるため、接合時のアライメント精度の確保が要求される。アライメントには様々な方法があるが、EVGが開発したアライメント装置「SmartView®」は、パターン形成面同士の貼り合わせを高いアライメント精度で行えるため、業界のデファクトスタンダードとなっている。

SmartView® NT (出所:EVG)

SmartView®によるアライメントでは、ウェハーステージの上下に設置した2台の光学系を使う。始めに、上下の光学系で同時に同一のアライメントマークを見ることで、上下の光軸を完全に合わせる。次にボトムステージに載せたウェハーのアライメントマークを上側の光学系から見て、その位置を記憶する。さらに、トップステージに真空チャックしたウェハーのアライメントマークを下側の光学系から見て、その位置を記憶する。記憶された位置情報をもとにステージを動かして上下のウェハーの位置合わせを行うことにより、アライメント精度0.5μmでのウェハー貼り合わせが可能になる。チューニングによっては、さらに0.2μm程度まで精度を上げることもできるという。

SmartView® アライメント動作原理 (出所:EVG)

この方法では、ウェハー接合面の内側にくるパターンを可視光で見られるため、IRを使う場合よりもアライメント精度が向上する。また、ウェハー同士を接触させるための上下方向の動きが大きくなると、アライメントの誤差もその分大きくなるが、SmartView®では2枚のウェハーの隙間を非常に狭ギャップにした状態でアライメントを行うため、接合時にウェハーを上下方向に動かす距離を小さくできるという利点がある。

アライメント精度測定装置「EVG®40NT」

貼り合わせ後のウェハー接合面のアライメント精度を測定する装置としては「EVG®40NT」がある。貼り合わせた内側の面にあるアライメントマークを反射型または透過型のIR干渉法で測定する。接合面にパターンが形成されている場合のCD(クリティカル・ディメンション)の測定も行える。また最近では、シリコンの厚さや接着剤の厚さの測定も追加できるようになっている。

(取材・執筆/荒井聡)

* ZoneBOND™は、Brewer Science, Inc., Rolla, MO, USAの登録商標です。
* EVG®、LowTemp®、SmartView®は、EV Group, St. Florian am Inn, Austriaの登録商標です。


>> MEMS 2012 特設ページTOPへもどる

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...