マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、橋やダム、学校などコンクリート構造物のひび割れ発生を検知して、部位を特定する新しいセンサ技術を開発したとのこと。フレキシブルな皮状のセンサで、構造物の表面に張り付けて使用するそうです。

誘電体エラストマーキャパシタによる歪みセンサ。機械的変形に伴う静電容量の変化から歪みを測定する。エラストマーの骨格に導電性ポリマーを接ぎ合わせた複合分子とすることでエラストマーの誘電率が増大した。これにより静電容量の応答性に46倍の向上がみられ、より小さなデバイスへの応用が可能となった (Guggi Kofod et al. J. Mater. Chem., 2011, 21, 8292-8294. DOI: 10.1039/C0JM03786A)
その原理はひび割れによって生じる静電容量(キャパシタンス)の変化を皮状センサで検出するというもの。センサは必要な形状に切り取り、構造物表面にマトリクス状に並べて配置。コンピュータが1日1回電流を流してセンサの静電容量を計測し、マトリクスのどの部分に変化があったかを特定するため、ひび割れ発生から24時間以内に破損部位の特定を行うことができます。
皮状センサの材料は、当初シリコン素材を試してみたところ、薄すぎ・柔らかすぎのためこの用途には向いていないと分かったため、最新の試作品では伸縮性のある熱可塑性エラストマーに二酸化チタンを混合したひび割れ感度の高い材料を開発し、これに電荷の変化を測定するためのカーボンブラックを塗布したパッチを当てているとのこと。
米国内のインフラ構造物の品質に関しては、2009年に米国土木学会(ASCE)が「Dランク」の評定を下しており、構造物の継続定期な点検・メンテナンスが必要不可欠との提言を行っています。研究メンバーの一人であるJerome Connor教授は、「今回開発した皮状センサは、ASCEによる構造物評価でC判定だった橋やD判定だったダムや学校にも有効」とコメントしています。
原文 http://bit.ly/lAAxGz
要約 SJN
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