ニューヨーク大、内部に他の分子を収容可能なアルキメデス多面体型分子を開発。新材料開発へ応用期待

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

ニューヨーク大の研究チームが、アルキメデス多面体と呼ばれるタイプの立体構造を有する分子を開発したとのこと。この分子多面体は、磁性材料や光学材料など、産業用・民生用の幅広い製品に影響を与える可能性のある画期的な構成要素になるといいます。

切頂八面体分子の電子顕微鏡写真。幅広い産業分野で吸収材として使用されるゼオライトの多孔質構造に似た結晶が形成されている (Credit: Michael D. Ward, New York University)

すべての面が正多角形となっている正多面体型の分子を形作ることはこれまでも試みられてきましたが、構造を長時間保持できる成功事例はありませんでした。また、ギリシャの数学者アルキメデスによって発見されたアルキメデス多面体は、この問題に関連した多くの関心を集めてきました。アルキメデス多面体は全部で13種類あります。それらはすべての面が正多角形となっており、各頂点のまわりには同じ並び方の正多角形が現れるという特徴があります。例えば、切頂四面体では、すべての頂点のまわりに2つの正六角形と一つの正三角形から成るパターンが形成されます。このような構造を分子を使って合成するということは、知的な難題です。

ニューヨーク大とミラン大による今回の研究は、アルキメデス多面体の一種である切頂八面体を合成するというものです。さらに、この多面体構造は、カゴのような骨格の内部に他の分子を収容することができることから、新材料や強化材料の構成要素として機能する可能性もあるといいます。

「私たちは、分子が多面体を形成するように設計する方法を実証しました」と研究メンバーの一人 Michael Ward氏は説明します。「次の段階では、切頂八面体以外の多面体も同様の設計原理を使って形成するによって、研究内容が拡張されることになるでしょう」

切頂八面体の分子モデル (Image courtesy of AAAS/Science)

研究チームがこの多面体の形成に利用しているのは72個の水素結合です。水素結合を使って、2種類の六角形の分子タイルを4組作り、8つの分子タイルで構成される切頂八面体を組み立てるのです。複雑な構造を組み上げることのできる汎用性があるため、化学者は水素結合をよく利用しますが、この結合には分子自体が原子を共有して結合する場合に比べると結合力が弱いという特徴があります。このことから、水素結合による大規模な構造は予測が難しく不安定であるという問題がしばしば起こるのです。しかしながら、ニューヨーク大の研究チームによって発見された切頂八面体は非常に安定していることが分かりました。分子のイオン特性によって水素結合が安定化されるということ、また、これ以外の分子の組み合わせが不可能であることがその理由です。さらに、この切頂八面体をナノスケールの孔を持つ結晶にすると、ゼオライトと呼ばれるなじみ深い無機化合物とよく似た特徴が現れます。

この構造は前述のとおり分子のカゴとしても機能します。他の分子を囲んだり、カプセルのように包み込むことが可能であり、将来的には新規化合物を開発するための手段になると期待されます。

原文 http://bit.ly/qUtc2G
訳 SJN

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...