PNNL、小型SOFCで発電効率57%を達成

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米パシフィック・ノースウェスト国立研究所(PNNL)が、小型の固体酸化物形燃料電池(SOFC)で発電効率56.6%を達成したとのこと。これまで報告されている同サイズのSOFCの発電効率30~50%に対して性能が向上している。

固体酸化物形燃料電池のしくみ (出所:PNNL)

2012年5月1日発行の Journal of Power Sources に掲載された論文によると、1反応での燃料利用率は55%程度だが、燃料極からのガスの再利用によってシステム全体の燃料利用率が最大93%まで向上するという。実証実験用システムでは出力1650~2150W、発電効率56.6%(LHV: 低位発熱量基準)時の出力1720Wを達成。適正なサイズのブロワを用いることにより、発電効率はさらに60%超まで向上できるとしている。

※日本で実用化されているSOFCタイプの家庭用燃料電池「エネファーム」は、定格出力700W、発電効率(LHV)46.5%となっている。

研究チームが想定するのはコミュニティ単位で利用できるSOFCであるという。パイロットシステムは典型的な米国の一般家庭で使用される2kW程度の発電を行うものであるが、さらに出力100~250kWに拡張できるように設計されている。この場合、一般家庭50~100世帯分の電力を供給できるという。

一般にSOFCでは、燃料ガスと水蒸気を混合・反応させて中間生成物を得る「水蒸気改質プロセス」が利用される。水蒸気改質プロセスによる中間生成物には一酸化炭素と水素があり、これらが燃料電池の燃料極で酸素と反応することで発電が行われる。このとき、副生成物として水蒸気と二酸化炭素が発生する。

今回のシステムの特徴は、水蒸気改質プロセスが燃料電池スタックの外部で行われるように外付けの熱交換器を採用したこと。これは不均一な温度の影響によって燃料電池のセラミック層が受けるダメージを防ぐためであるという。熱交換器には、2種類のガスを分離するための金属隔壁があり、隔壁の一方には燃料電池内部での反応で生じた高温ガスが排出される。隔壁の反対側からは低温ガスが燃料電池内部に供給される。高温側のガスの熱が隔壁を通して低温側のガスを温めることにより、燃料電池内部での反応に必要な温度まで昇温される。

マイクロチャネル型の熱交換器 (出所:PNNL)

システムを小型化するために、PNNLで開発されたマイクロチャネルと呼ばれる技術が、複数の熱交換器内で使われている。マイクロチャネル型熱交換器は、2種類のガスを1枚の隔壁で分離する代わりに、ペーパークリップよりも小さいループ状のチャネルをいくつもつなげた構造とした。表面積が増加することでより大きな熱量を伝達でき、システムの効率が向上するという。

燃料電池反応の副生成物である水蒸気と熱は、水蒸気改質プロセスで再利用できるようにシステム設計されている。このため、水蒸気を生成するために電気的な装置を使って水を温める必要がなくなっている。水蒸気は燃料ガスと混合され、繰り返し燃料電池内に供給される。これにより、1回目の燃料電池反応で使い切れずに残留した燃料ガスも再利用できるという。


発表資料

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