SIIナノテク、アルゴンガス消費量を半減するICP発光分光分析装置向けシステムを製品化

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エスアイアイ・ナノテクノロジーが、同社のICP発光分光分析装置SPS3500シリーズに装着することで、アルゴンガスの消費を半減するオプション「ActiveFlow(アクティブフロー)システム」を開発。6月5日に発売する。アルゴン消費量は世界最高水準の低消費にできるという(プレスリリース)

トーチ内のアルゴンガス流量シミュレーション

誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)では、アルゴンガスに高周波を加えることで7000~10000℃の高温プラズマを生成する。標準機では、このプロセスで毎分16リットル程度のプラズマガスが消費されるが、「ActiveFlowシステム」では、流体力学を用いてガスの流れを解析することにより専用トーチを新設計し、精度・感度を損なうことなくガスの消費量を毎分約8リットルに半減した。アルゴンガス購入費用を年間100万円程度削減でき、環境負荷の低い運用ができるという。

プラズマを生成するトーチの形状、アルゴンガス流入方法、高周波電流制御などを最適化した。一般に、ガス流量を下げるとプラズマが不安定になり測定精度が下がる傾向があるが、同システムでは、アルゴンガスの消費が少ない状況でも安定したプラズマを生成でき、高塩濃度サンプルの分析にも使用できるという。

ICP発光分光分析装置SPS3500シリーズ

ICP-OESは、ppmからppbオーダーで含有元素の精密分析を行なう装置。高温プラズマ内に導入された試料自体がプラズマの作用で発する様々な波長の光を測定することにより、試料の分析を行う。

同社装置の特徴は、130nmからの極短波長の真空紫外域での測定を可能としたこと。極短波長を測定することで、従来は分光干渉によって測定困難となっていた微量の元素を高感度で分析できるようになっている。例えば、リチウムイオン電池に用いられるコバルトに含有されている微量の鉛を検出しようとする場合、従来は200nm台の波長域で測定していたが、この場合コバルトの分光干渉を強く受けるため、鉛の発光の測定は非常に困難であった。これに対して同装置では143nm付近の極短波長側での測定を行うことにより、コバルトの干渉を受けずに鉛の発光を鮮明に検出することが可能となっている。極短波長側の測定を実現した要素技術としては、分光器に用いるプリズムの材料を石英からフッ化カルシウムに置き換えたことや、検出器側の改良により真空紫外域での波長吸収性を向上したことなどが挙げられる。

その他、利用分野は金属・セラミックスなどの素材、石油化学、医学、農業、環境と幅広く、多くの分野で公定法となっている。SIIナノテクは1980年に国内で初めてコンピュータ制御によるシーケンシャル型ICP-OESを発売。同分野で国内トップシェアを持つ。今回発売されるシステムの価格は180万円。ICP-OES本体の価格は1700万円からとなっている。年間販売数50セットを見込んでいる。


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