LCN、溶液法による単層グラフェンの高歩留まり作製技術を開発

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ロンドン・ナノテクノロジー・センター(LCN)が、溶液法を使って単層グラフェンを高い歩留まりで作製する技術を開発したとのこと。この方法で作製された単層グラフェンは、負の電荷を帯びた状態で溶液中に存在しており、基板上に成膜することもできるという。2012年5月10日付の米国化学会誌(オンライン版)に論文が掲載されている。

論文によると、溶質に対して体積百分率95%超という高い歩留まりで単層グラフェンが生成されることが確認されたという。溶液中のグラフェンシートの平面方向の大きさは15nmより大きく、溶媒分子の殻によって強い溶媒和を示すとする。

単層グラフェンの作製は、2段階の溶解プロセスで行う。第1段階では、カリウムとアンモニアの溶液をグラファイトのナノファイバーに挿入する。これによってカリウム-アンモニアのグラファイト層間化合物が得られる。第2段階では、この層間化合物をテトラヒドロフラン(THF)中に溶かし、負に帯電したグラフェンの溶液を作製する。負に帯電したグラフェンの陰イオン的・離散的特性を表す意味で、研究チームはこれを「グラフェナイド」と呼んでいる。

図1 溶液法による単層グラフェンの作製プロセス (Ralf Schweins et al., J. Am. Chem. Soc. (2012) DOI: 10.1021/ja211869u)

図1は、この2段階の溶解プロセスを図示したもので、カリウム原子はピンク、水素原子はライトグレー、窒素原子は青、酸素原子は赤、炭素原子はダークグレーで表されている。グラファイト(図1a左)の層間にカリウム-アンモニア溶液(図1a右)を挿入して、層間距離~6.4Åの層間化合物KC48(NH3)4を得る(図1b左)。次に、これをTHF(図1b右)の液中に溶かすことにより、溶媒和のグラフェナイド(図1c中央)が得られるという。図cの写真左は質量濃度0.01%、写真右は質量濃度0.1%のグラフェナイド溶液。

図2 グラフェン溶液の小角中性子散乱データ (Ralf Schweins et al., J. Am. Chem. Soc. (2012) DOI: 10.1021/ja211869u)

溶液中でのグラフェンの存在は、仏グルノーブルのラウエ・ランジュバン研究所(ILL)での小角中性子散乱実験によって確認。原子間力顕微鏡(AFM)およびラマン分光法でも裏付けられたとする。図2上は、グラフェナイド・シート溶液の小角中性子散乱データ。図2下は、このデータを基にモデル化されたグラフェン溶媒和の「コア-シェル-バルク」構造を表している。

図3 マイカ基板上のグラフェン・プレートレットのAFM画像 (Ralf Schweins et al., J. Am. Chem. Soc. (2012) DOI: 10.1021/ja211869u)

図3は、マイカ基板上に滴下被覆したナノグラフェン溶液のAFM画像。(a)は通常の接触モードでの偏位イメージで、個々のサイズ100~150nmのプレートレットが明瞭に見てとれる。(b)は同じサンプルのラインスキャンによる高さプロファイル。グラフェンの厚さが1nm程度であることが示されている。(c)は、面積2μm×2μmの表面についての統計分析結果。高さの平均値0.93nm(標準偏差0.2nm)となっている。


発表資料

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