サムスン、グラフェントランジスタの電流オン・オフに成功

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サムスンエレクトロニクスが、グラフェンを用いた新構造のトランジスタを開発。グラフェントランジスタで初めて、電流のオン・オフ動作に成功したとのこと。サムスンの研究開発拠点であるサムスン先端技術研究所が、2012年5月17日付の「サイエンス」オンライン版に論文を掲載している。

(A): グラフェン・バリスタの概念図。(B)トップゲート形成前のグラフェン・バリスタの走査電子顕微鏡画像。(C)ゲート電圧0Vに固定したときの電流-バイアス電圧特性。ショットキーダイオード特性を示している。(D)150mmウェハー上に形成された2000個のグラフェン・バリスタ配列 (Hyun-Jong Chung et al., Science2012 / DOI: 10.1126/science.1220527)

デバイスの動作原理は、グラフェンとシリコンのショットキーバリアの高さを制御することによって、電子移動度を低下させずに電流のオン・オフ切り替えを可能にするというもの。バリアの制御を利用するトランジスタという意味で「バリスタ(Barristor)」と命名されている。

サムスンによると、バリスタを使ったロジックデバイスの研究も行われており、すでにNOTゲート(インバータ)と論理回路(半加算器)を作製し、加算演算動作の実証が行われたという。このデバイスの構造と動作方法に関連して、サムスン先端電子研究所では9つの主要特許を保有しているとのこと。

論文によると、今回のデバイスの重要技術は、グラフェンと水素化シリコンの間の原子レベルでのシャープな界面であるという。グラフェン・シリコン間のショットキーバリアを制御するためにトランジスタのゲート電圧を調節することによって、デバイスの電流オン・オフ比105を実現している。

グラフェンとシリコンの界面でフェルミ準位のピン止め現象が起こらないことから、グラフェンの仕事関数の調節によってバリアの高さを0.2eVに調整することが可能になっている。この結果、ダイオードのしきい値電圧が大幅にシフトするという。

グラフェン・バリスタは150mmウェハー上に形成。p型・n型の相補型デバイスとなっている。

グラフェンの電子移動度はシリコンに比べ200倍と高速であるため、パターン寸法の極端な微細化を伴わずにデバイスの高性能化を進められる可能性がある。半導体であるシリコンと異なり、グラフェンの物性は金属的であるため、デジタル信号の0/1操作を行うための電流のオン・オフ動作が困難なことが課題となっていた。


発表資料

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