イオン液体のドーピングでグラフェン太陽電池が高効率化 ― フロリダ大が報告

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

フロリダ大学の研究チームが、グラフェン太陽電池の高効率化に成功したとのこと。これまで2.9%に止まっていた変換効率が、イオン液体TFSAをドーピングすることによって8.6%に向上したとしています。

イオン液体TFSAをドーピングすることでグラフェン太陽電池の変換効率が大幅向上することが示された (Arthur F. Hebard et al., 2012 Nano Lett. / DOI:10.1021/nl204414u)

Nano Lettersに掲載された論文によると、今回の研究では、TFSA(ビストリフルオロメタンスルホンアミド)をドーピングした単層グラフェンとn型シリコンとのショットキー接合による太陽電池セルで変換効率8.6%を記録。これはドーピングを行っていない同型のグラフェン太陽電池に比べて4.5倍の値であり、これまで報告されているグラフェンを利用した太陽電池の中で最高の変換効率であるといいます。

電流-電圧、静電容量-電圧、外部量子効率の測定結果は、ドーピングに起因するグラフェンの化学ポテンシャルシフトによってグラフェンのキャリア密度増大(セルの直列抵抗の減少)、セルの固有電位増大(開路電圧の増大)といった増強効果があることを示しており、これらによって太陽電池セルのフィルファクター(FF)が向上。また、ドーパントとしてのTFSAの特徴は、これまで試されてきた他のドーパントと異なり、安定性に優れ、効果が長く持続することであるとします。

フロリダ大の物理学教授 Arthur Hebard氏は、グラフェンについて、「従来の金属と異なり透明かつフレキシブルであるため、建物の外装に組み込むタイプの太陽電池などで重要な部材になる可能性が高い」と指摘。今回の研究で、簡易かつ低コストな処理方法によって変換効率を向上できることが示されたことは、グラフェンの将来性の高さを物語っているとします。

研究チームによれば、グラフェン太陽電池の変換効率が10%に到達し、製造コストを低く抑えることができれば、他の太陽電池と市場で競合できるようになるといいます。

今回試作されたセルは硬いシリコン基板上に形成されており、量産を考えるとシリコンが経済的な材料とは言えないことが問題ですが、Hebard氏は、ドーピングしたグラフェンとポリマーシートのような低コストでフレキシブルな材料を組み合わせて太陽電池を作ることも現実的に可能であると見ているといいます。


発表資料

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...