都市部に水辺環境を簡易設置するシステム、東京都市大らが実用化めざす

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東京都市大学・田中章研究室が、都市部に水辺の環境を簡易設置できるビオトープシステムの実用化を進めている。都市開発で失われていく水辺の生態系を補償し、生物多様性の保全をめざすという。

東京都市大・田中章研究室のビオトープ・パッケージ (2012NEW環境展で筆者撮影)

水辺の設置は、東京都市大と東邦レオが共同開発した連結式の軽量パネル「クールパレットシステム」を使って行う。パネル1枚のサイズは80cm×100cm×高さ10cmで、材質は耐候剤入りポリプロピレンを使用。パネル内には、あぜ部、湿地部、流水部が設けられ、水生植物などを植えることができる。このパネルを複数連結することで、ビル屋上や舗道の一部などに小規模な水辺環境を簡易な施工で作り出す。2012年5月22~25日に東京ビッグサイト開催「2012NEW環境展」でも、パレットを使った水辺環境のデモ展示が行われている。

水辺単体の規模は小さくても、都市のあちこちに数多く設置することで水辺に生息する生物のネットワークを形成し、総体としてのビオトープの機能を期待するという。ビル屋上などに設置すると断熱効果があり、室内温度上昇の抑制やヒートアイランド現象緩和なども期待できる。

現在、東京都市大・横浜キャンパス内に実験的なビオトープ・パッケージを設置し、飛来する野生生物種のモニタリングを行っている。このビオトープでは、横3枚×縦30枚の合計90枚のパネルを連結して配列。水の供給は、貯水槽に溜めた雨水をポンプで循環させて行う。ポンプの駆動に必要な電源は、併設した太陽光発電パネルを利用する。出力が不足しているときは、校舎から引いた商用電源に自動的に切り替わるシステムとしている。

2012NEW環境展、東京都市大のブース

ハーブの芝生から作った石けん

ビオトープには、ハクセキレイ、シオカラトンボ、クロメダカ、アズマヒキガエル、マルタニシ、カルガモ、ヒヨドリ、キジバトなどの動物、デンジソウ、ミソハギ、サワギキョウ、フジバカマ、ハナショウブ、オオミズゴケなどの植物が生息しているという。NEW環境展でのデモ展示では、パレット内に作られた小さな水辺でメダカが元気に泳いでいる姿を見ることができた。

ビオトープの生態系を保つ上では、水が滞留せずに常に流れ続けていることが重要であり、メンテナンスに人手が必要となる。このため、都市部に多数設置することを想定すると、メンテナンスにかかる人件費を賄うためのモデルをどうやって構築するかが、実用化を進める上での課題になるという。

田中研究室では、人件費調達モデルの一例として、ハーブの芝生による建物緑化の研究も行っている。キャンパス内の階段にハーブの芝生を敷設。ハーブは耐久性が強く、匍匐性があり、足で踏まれることで強い芳香を放つという。このハーブを原料として、学生が石けんを自作。昨年の学園祭で1個500円で販売したところ、用意した150個が完売し、黒字化したとのこと。研究室のメンバーは「今年の学園祭でも売りたい」と話している。(取材/荒井聡)

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