最新のSEM、TEM、FIBなど展示 ― 顕微鏡学会併設展示会@つくば

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日本顕微鏡学会 第68回学術講演会が、2012年5月14日~16日の3日間、つくば国際会議場(つくば市)で開催された。

日本顕微鏡学会 機器展示会場風景

講演会全体のテーマは「顕微鏡科学の新たな融合」。近年、光学顕微鏡および電子顕微鏡の理論と装置技術の進展によって、理工学分野/生物学分野といった従来の枠組みを超えた研究報告が多数行われるようになっているためであるという。

環境エネルギー分野の研究開発では、二次電池や燃料電池の高性能化のために、電極界面や触媒層などの顕微鏡観察が欠かせない。電池の劣化現象の解明を進めるためには、電池が実際に作動している状態での挙動を調べる「その場観察」がますます重要になってくる。電池の材料構造の静的な画像化だけでなく、ナノスケールでの原子の移動をダイナミックに観察できる新しい顕微鏡技術や、精度の高いデータ取りが難しいとされる高温条件での観察手法の確立などが求められている。

生体イメージング分野でも、「生きたまま」の試料の生命活動をナノスケールで画像化する技術の進展が注目される。原子間力顕微鏡(AFM)の撮像速度が飛躍的に上がったことで、従来は間接的なデータから分析するしかなかった細胞やタンパク質、DNAなどの溶液中での挙動を高解像度の動画で直接見ることができるようになってきた。その結果、これまで知られていなかった予想外の生命現象も報告されるようになっているという。

学会併設の機器展示会を取材した。

エスアイアイ・ナノテクノロジーは、集束イオンビーム(FIB)の最新装置「SMI4050」などをパネル展示した。FIBは数nmの細さに絞ったイオンビームで試料表面を走査することで、表面にエッチングやデポなどの微細加工を施しながら顕微鏡観察ができる装置で、試料の断面観察や透過電子顕微鏡(TEM)用試料の作製などに使われる。SMI4050の特徴は、プローブ電流を従来機比約2倍の90nA以上と大電流化したことで、試料の加工時間が大幅に短縮されたこと。幅95μm×深さ55μmといった厚みのある試料の加工を、従来機比約1/2の20分で行うことができるという。その他の装置スペックは、二次電子分解能4nm@30kV、加速電圧1.0~30kV(0.5kV~オプション)、5軸モーターユーセントリックチルトステージ、試料サイズ50mm×50mmなどとなっている。

SIIナノテクノロジー 「SMI4050」

SMI4050で撮像したワイヤボンディング断面画像

日本電子は、タッチパネル式の卓上走査電子顕微鏡の新製品「NeoScopeTM JCM-6000」を実機展示。タッチパネルによる直感的操作を取り入れることで使いやすさを訴求する。装置に試料をセットして扉を閉じると自動的に真空排気が開始され、電源を入れた3分後には使用可能になるという。高真空/低真空モードもワンタッチ操作で簡単・迅速に切り替えられる。撮影した画像の検索、ライブ画像と保存画像の比較のための2画面表示なども、すべてタッチパネル操作で行えるようにした。装置スペックは、二次電子像モードが倍率10倍~6万倍で加速電圧5kV/10kV/15kV(3段階)、反射電子像モードが倍率10倍~3万倍で加速電圧10kV/15kV(2段階)。試料ステージはX:35mm Y:35mmのXY手動式、試料サイズ70mm径×50mm高などとなっている。家電製品のようなすっきりとコンパクトな装置デザインが印象的だった。

日本電子「NeoScopeTM JCM-6000」

FEIは、収差補正TEMのハイエンド機「Titan3TM G2 60-300」などを紹介。同装置は、高次の収差補正を実現する12極子タイプのCsコレクタ(STEM用)を標準装備しており、70pmという高分解能のTEM/STEM像が撮像可能。モノクロメーターを搭載し、エネルギー分解能<0.2eVと最小化していることも同装置の特徴。原子スケールの化学分析や結合状態の分析、二次元・三次元の材料特性評価などに向いているという。ブースのパネル展示では、モノクロメーターを用いたSi、SiO2、SiOxNyの電子エネルギー損失分光(EELS)スペクトラムのグラフなどから、化合物の異なる結合状態を明瞭に分析できることが示されていた。(取材/荒井聡)


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