ケンブリッジ大、太陽電池用シリコンの製造コスト80%効率化。さらなる低価格化を促進

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ケンブリッジ大学の研究チームが、太陽電池用シリコンの製造にかかるエネルギー消費とコストを最大80%効率化する技術を開発したとのこと。CO2排出量も90%削減できるとしています。

今回、ケンブリッジ大のチームが行った研究は、同大の材料科学・冶金学教授 Derek Fray氏らが開発したチタンの連続型製錬技術FFC法(Fray-Farthing-Chen)に改良を加え、シリコン製造に適用するというもの。現在、研究開発の最終段階に入っているといいます。

チタンの連続型製錬技術FFC法をシリコンに適用して製造コスト低減。写真はシリコンインゴットの端面 (Credit: BT Usdin on flickr)

研究チームのAntony Cox博士は、これまで開発されてきたソーラーグレードシリコンの製造法について「どれもエネルギー消費量が莫大で、工程も複雑」と指摘。さらに、粗シリコンの製造工程ではシリコン1トン当たり数十トンのCO2が発生し、シーメンス法による製錬工程でもさらに45トンのCO2といくつか種類の有害ガスが生成されるとします。

「クリーンで持続可能なエネルギーを利用するために太陽電池産業が必要とするシリコンの95%が、このような環境破壊をもたらす工程によって供給されているというのは皮肉な事実」とCox氏。「実際、シーメンス法を使って作られた太陽電池が製造段階で消費した分のエネルギーを発電するには、最大で6年かかると見られている」と言います。

太陽電池に用いられるシリコンは、不純物のない高純度なものでなければなりません。不純物があると、太陽光エネルギーで励起された電子がシリコン内部を移動して電流を発生させる妨げになるためです。

Cox氏が開発している2段階プロセスでは、白砂と塩化カルシウムを原料として使用します。第1段階では、圧縮されたタブレット状の砂を塩化カルシウムに浸し、900℃まで加熱。砂に含まれるシリコンは酸化物として存在しており、FCC法での処理を通して酸素原子がイオン化して陽極に移動。このとき陽極で放出される酸素が反応過程での唯一の副生成物であるといいます。砂からシリコンを製錬することは容易ではなく、研究チームがこの基礎的課題を解き、プロセス技術の規模拡大を行うまでには、過去4年の歳月を要したとのこと。

第2段階では、電気精錬処理によってシリコンの純度を99.99%から99.9999%へと高めます。予備的研究では非常に良好な結果が得られており、研究チームは第2段階の工程開発を進めているところ。

「重要なのは、このプロセスによって製造中のエネルギー消費量が最小化され、副生成物も二酸化炭素ではなく酸素であるということ。そして、工程が少なくて済むため、生産規模の拡大も容易になる」とCox氏。「これまでの試みの多くが生産規模の拡張でつまずいてきたのは、パイロットプラントと商用プラントの間にかなりの差異があるためであり、商用化段階になって、それまで予期していなかった問題が分かることが多い」とし、「今回開発しているプロセスでは、巨大な工場1拠点ではなく、制御しやすい独立した小規模生産拠点を多数使うことを計画している。これにより商用プロセスへの移行が行いやすくなる」と話します。

ある経済調査の結果に基づき、Cox氏は、今回のプロセスによって現在1kg当たり40~200ドルであるソーラーグレードシリコンの製造コストが最大8ドルまで下がると考えているとのこと。

低価格化が進むソーラーグレードシリコンですが、製造プロセスのさらなる効率化によって、既存の発電技術との価格差をクリアしていくことが期待されます。


発表資料

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