白金フリーの色素増感太陽電池で変換効率5%超、単層CNT電極と硫黄系電解質を使用 ― 米中共同チーム

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ライス大学と清華大学による米中共同チームが、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)電極と硫黄系電解質を用いた色素増感太陽電池(DSC)を開発したとのこと。対向極に白金を使用していないため低コストに作製でき、変換効率5.25%、FF0.68とDSCとしてはかなり良い値を記録しています。

垂直配向させたSWCNTの画像。(a)成長させたままの状態、(b)透明電極に転写した状態、(c)頂上部のトポロジー形態のSEM画像。(d)はTEM画像 (Image courtesy of Scientific Reports / doi:10.1038/srep00368)

ライス大の研究チームが開発したSWCNT電極は、通常DSCで用いられる白金よりも電気的活性が高く、低コスト化が可能。これを清華大が開発した硫黄系電解質と組み合わせることで、高効率で丈夫なDSCを現在のシリコン太陽電池の数分の1のコストで製造できるようになるとしています。

DSCでは、色素が太陽光を吸収し、電荷(電子)を生成。電子は集電体上に形成された酸化チタンの半導体層に捕捉された後、外部配線を経由して対向極へと移動します。従来のDSCは電解質にヨウ素を用いていますが、ヨウ素には金属の集電体を腐食させる傾向があるため、「長期信頼性に問題がある」とライス大の材料科学者 Jun Lou氏は指摘します。また、ヨウ素電解質には可視光の波長の光を吸収してしまう傾向があるため、発電に利用できる光子の数が減ってしまうといいます。

今回のDSCでは、ライス大が開発した垂直配向型CNT配列の作製技術を使用している。CNT配列をシリコン基板上に成長させた後、導電性ガラス基板に転写。CNT配列の頂上部に酸化チタン電極を形成し、清華大が開発したヨウ素フリーの電解質で周囲を満たす (Image courtesy of Scientific Reports / doi:10.1038/srep00368)

そこで清華大チームでは、腐食作用や可視光吸収性のない硫黄を用いた電解質の開発に着手。ライス大の化学者 Robert Hauge氏らが開発したSWCNTのカーペット構造と組み合わせたときに上手く機能する硫黄系電解質の実現を目指しました。

ライス大と清華大がそれぞれ試作したDSCは、どちらも変換効率5.25%を達成。この値はヨウ素電解質と白金電極を用いた場合の変換効率11%には及ばないものの、対照群として測定した硫黄系電解質と白金対向極の組み合わせに比べると著しい向上が見られたとしています。

ただし、これから取り組まなければならない課題も多くあります。CNTと集電体の接触抵抗はまだ大きく、CNTの構造欠陥が性能にどのように影響を及ぼすかについても完全には理解されていません。「こうした点がすべて最適化できれば、変換効率はかなり良い値になり、コスト的にも非常に手ごろなものになる」とLou氏。「シリコン太陽電池に対する低コストな代替品になるかも知れないところが、DSCの本当の魅力」と話しています。


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