多孔性カーボンナノ粒子を用いた高容量リチウム硫黄電池、独・加の国際研究チームが開発。充放電サイクル安定性も向上

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独ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンとカナダのウォータールー大学の研究チームが、多孔性カーボンナノ粒子を用いたリチウム硫黄電池を開発したとのこと。容量が1200mAh/gと高く、リチウム硫黄電池の問題である繰り返し充放電による性能劣化についても改善されているとします。

リチウム硫黄電池に使われている多孔性カーボンナノ粒子 (Image courtesy of LMU Munich)

リチウム硫黄電池は、リチウム極と硫黄-カーボン極の間でのリチウムイオンの交換によって充放電を行うものであり、硫黄が重要な役割を果たします。最適化された条件下では、硫黄原子1個につきリチウムイオン2個を吸蔵することが可能。このため硫黄は、その軽量性から優れたエネルギー貯蔵材料であると言えます。ただし、同時に、硫黄には導電性が低いという性質もあり、これは充放電時の電子の移動が難しいことを意味します。

研究チームは今回、リチウム硫黄電池の設計改善をめざし、ナノ構造を持つ導電性材料と硫黄を結合することによって、硫黄の相に電子移動のための大きな界面領域を作り出すことに取り組みました。

この目的を達成するために開発されたのが、多孔性カーボンナノ粒子のネットワーク構造です。ナノ粒子には3~6nm径の孔が開いており、硫黄が均一に分散することによって、ほとんどすべての硫黄原子がリチウムイオンを受容可能になるといいます。同時に、導電性のあるカーボンのすぐ近くに硫黄が配置されるという効果もあります。

研究チームのThomas Bein氏は、「新規の多孔性ナノ粒子によって硫黄が電気的に扱いやすくなり、安定性も向上する。このため初期容量1200mAh/gという高容量と、安定した充放電サイクルを達成できるようになっている」と説明。「今回の成果は、新しいエネルギー貯蔵コンセプトにおけるナノスケール形態学の重要性を強調するもの」であるとします。

リチウム硫黄電池の動作原理 (Image courtesy of Angewandte Chemie)

 
また、カーボン構造には、多硫化物の生成問題を軽減する効果もあるとのこと。リチウム硫黄電池の電気化学プロセスで中間生成物として形成される多硫化物は、電池の充放電に悪影響を及ぼすとされていますが、今回の電池では、最終生成物である硫化二リチウムが生成されるまでの間カーボンのネットワーク構造が多硫化物と結合するため、この影響が緩和されると考えられます。さらに、研究チームはカーボン材料に酸化ケイ素の薄膜をコーティングすることにも成功。酸化ケイ素膜には導電性を損なわずに多硫化物からカーボンを保護する効果があるとします。

なお、最新データによると、今回の材料の内部空孔容積は2.32cm3/gで、これまでに報告されているすべてのメソ多孔性カーボンナノ粒子の中で最高の値となっています。質量当たりの表面積も2445m2/gと極めて高く、角砂糖1個分の大きさを考えた場合、その表面積はおよそテニスコート10面分に相当。近い将来、私たちが使用する電池の内部に、このような広大な面積が織り込まれる可能性もあるとしています。


発表資料

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