「リチウムイオン電池はどこまで小さくできるのか?」 NISTら、MEMSデバイス用の極小電池を研究

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米国立標準技術研究所(NIST)、メリーランド大学カレッジパーク校、サンディア国立研究所の共同チームが、MEMSデバイスに搭載可能な極小のリチウムイオン電池の研究を行っているとのこと。ナノサイズの電池を試作し、電解質層の膜厚が電池性能に与える影響などの検討を進めています。

異なった膜厚の電解質を持つナノサイズの電池を試作し、充放電の様子をTEMで観察できるようにした (Credit: Talin/NIST)

MEMSデバイスは数十μm程度まで微細化が可能であり、医療用途・産業用途など幅広い分野への応用が考えられていますが、多くの場合、小型で長寿命かつ急速充電可能な電池による電源供給が必要となります。現在の技術では、電池自体のサイズが1mmより小さくならず、結果的にデバイスもそれ以上小型化できません。

研究チームは今回、長さ7μm、幅800nmの固体型リチウムイオン電池を試作。既存の材料を使った電池の微細化がどの程度まで可能かを検証し、その性能試験を行いました。

実験では、薄膜化した金属接点と正極材、電解質、負極材をシリコンナノワイヤ上に成膜し、膜厚条件を変えた様々な極小リチウムイオン電池を試作。電池内での電流の流れ方や充放電時の電池材料の変化などを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しました。

その結果分かったのは、電解質の膜厚が200nmより薄くなると、本来は電池に接続された配線を通ってデバイス経由で正極側に戻るはずの電子が、電解質の境界を飛び越えて移動するようになるということでした。このように電子が電解質を通って近道する現象、すなわち短絡が生じると、電解質が分解され、同時に急激な放電が起こるといいます。

NISTの研究者 Alec Talin氏は「電解質の分解がなぜ起こるのかはよく分かっていない」と言います。ただし、はっきりしているのは、より小さな電池を作ろうとするなら新しい電解質を開発する必要があるということです。自律動作するMEMSに用いることができる実用的な高エネルギー密度の二次電池を作るために必要とされる膜厚にした場合、現在主流の材料であるLiPON(リン酸リチウムオキシナイトライド)が機能しなくなるとみられるからです。


発表資料

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