サンディア国立研究所ら、地熱発電向けダイヤモンドビットの性能向上めざす

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

米サンディア国立研究所が、米海軍と共同で地熱発電向け掘削用ダイヤモンドビットの性能向上プロジェクトを進めているとのこと。より地中深くにある高温の熱源を利用可能にすることをめざします。カリフォルニア州チョコレート山航空射撃場における地熱資源評価事業の一環として、ドリルの実証試験が行われたところです。

ドリルストリングの回転振動をシミュレーションするためのねじりバネ (Photo by Randy Montoya)

地熱発電の掘削コストを下げるために、PDC(Polycrystalline Diamond Compact)ビットと呼ばれるダイヤモンド製の掘削具が最初に開発されたのは今から30年前のこと。その後PDCビットは石油・ガス田の掘削向けに実用化。今日消費されている石油の2/3近くが、PDCビットを使って掘った井戸から供給されるようになっているといいます。

PDCビットが最初に石油・ガス田向けに使われるようになったのは、「一般に地熱発電向けの掘削ほど複雑でないため」と研究チームのリーダー David Raymond氏は説明します。Raymond氏によれば、石油・ガス田の掘削は通常比較的軟らかく破砕しにくい岩盤で行われるため、切屑を除去しドリルを冷却するための流体循環系に問題が起こることが少ないといいます。また、地熱発電用の井戸のような高温状態で掘削が行われることも通常はありません。

しかし、石油・ガス産業がより地下深部に埋蔵されている資源を探索するようになるにつれて、その掘削環境は地熱発電と同様に難しいものになってきました。深く固く、また破砕しやすい岩盤を高温下で掘削しなければならないのです。

地熱資源は通常、火成岩や変成岩などとの関連が深いとRaymond氏は言います。これらの岩石は、石油・ガス田の掘削が行わる堆積岩と比べて固く、石英などの研削材を成分として多く含んでいるのが特徴です。こうした成分は振動と摩耗促進の原因となり、ドリルにダメージを与えることになります。また、火成岩や変成岩は破砕しやすいため、ドリルにかかる衝撃が変動することがあり、これによってダメージがさらに増すといいます。

実験で使われた掘削用ビットの試作機 (Photo by Randy Montoya)

「掘削量当たりのコストで考えると、地熱発電向けの掘削は依然として最も困難です」とRaymond氏。「最も固い岩盤を貫通させなければならず、ときには高温高圧下での作業となります。エネルギー省が計画している先進的地熱発電開発では、熱源を利用するために最大で深さ3万フィート(約9km)まで掘削することになるんです」

石油・ガス田の掘削と地熱発電向けの掘削は、経済的リスクという点でも異なっています。石油・ガス田の掘削は毎年たくさん行われており、困難な条件下での掘削能力を向上させるために、産業界は多くの研究開発投資を行うことができます。一方、地熱発電向けの掘削はわずかな数しか行われていません。業界にとって技術革新を支援することは困難であり、大きなコストがかかります。このため地熱発電の技術進歩は、石油・ガス産業と比べてかなり遅れています。

今回、サンディア研究所と海軍の実証プロジェクトは、熱鉱泉があるビリー・マッケン・キャンプの地熱資源を評価するための試験的な掘削を行いました。チョコレート山地の基底岩盤は花こう岩や安山岩などを含んでおり、地熱発電向けの掘削中に遭遇する典型的な組成であるため、PDCビットの検証にも適していると考えられます。

プロジェクトの主要目的は、PDCビットとその関連技術を実際の掘削環境で試験・評価すること。テストでは2機のビットを使い、深さ3000フィートの井戸のうち1291フィートを4日間で掘削しました。掘削速度は毎時30フィートで、標準的なローラービットの3倍近い速さ。研究チームは掘削孔のデータをビットから回収し、分析にかけたとのこと。

今後計画されているプロジェクトの第2フェーズでは、PDCビットメーカーのNational Oilwell Varco(NOV)と共同で掘削性能評価とビットの設計・材料の改良を行うとしています。


発表資料

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...